第3回:スウェーデンと日本—なぜ日本はスウェーデンの方法を採用しないのか?
前回、スウェーデンの成功した高齢ドライバーへのアプローチを見てきましたが、今回はそのメリットとデメリットを深掘りしつつ、日本がスウェーデンの方法をそのまま採用しない理由を探っていきます。
スウェーデンのメリットとデメリット
スウェーデンの取り組みには多くのメリットがあります。まず、専門家が高齢ドライバーの運転能力を評価するため、家族が無理に免許返納を迫る必要がなくなり、家族間の対立が減ります。また、公共交通機関や移動支援サービスが充実しているため、高齢者が免許を手放しても生活の質を落とすことなく暮らすことができます。
しかし、スウェーデンのアプローチにはデメリットも存在します。医療機関や交通機関への負担が大きく、特に地方では公共交通が整っていない地域もあるため、全ての高齢者に対して同じようにサポートできるわけではありません。また、高齢者にとっては、自分の自由を制限されることに対する心理的な負担も大きいです。
日本がスウェーデンの方法を取り入れない理由
日本では、スウェーデンのような厳格な評価制度をそのまま導入するのは難しいと言われています。その理由の一つは、地方の交通インフラの未整備です。日本の多くの地方では、車が生活の主要な交通手段となっており、免許を返納した場合の代替手段が乏しい状況です。公共交通機関が発達していない地域では、免許を手放すことは生活の質を大きく低下させるリスクが伴います。
さらに、医療機関の負担も大きな課題です。スウェーデンのように高齢者全員に対して定期的な健康診断や運転能力評価を行うためには、日本の医療機関に大きな負担がかかるため、実現が難しいという現実があります。
運転継続計画(DCP)—日本に適した解決策
こうした背景から、日本では高齢ドライバーの問題に対する独自のアプローチが必要です。その一つが**運転継続計画(DCP: Driving Continuity Plan)**です。この計画は、高齢者が安全に運転を続けるための具体的な方針を定め、家族とともにリスクを管理する仕組みです。
事故のリスクを低減しつつ、高齢者が運転を続けられるよう支援することにより、日本の交通事情や医療リソースに合わせた、現実的な解決策が提供されると考えています。