第2回:スウェーデンの高齢ドライバーへの取り組み—その成功の理由とは?

北欧の街並みの図

前回は、アメリカ、カナダ、イギリスの高齢ドライバーに対するアプローチを紹介しました。今回は、特に注目されているスウェーデンの取り組みに焦点を当てます。スウェーデンは高齢者の運転継続や免許返納に関して、非常にバランスの取れた政策を実施しており、その成功は世界的にも評価されています。

スウェーデンの高齢ドライバー評価制度

スウェーデンでは、75歳以上のドライバーに対して定期的な健康診断が義務付けられており、視力や聴力、認知機能のテストが行われます。この健康診断は、医療機関が主導して実施され、ドライバーの健康状態を客観的に評価することが目的です。これにより、家族だけが免許返納を勧めるのではなく、専門家が運転能力を判断するため、家族間の対立が緩和されます。

さらに、スウェーデンでは運転能力評価も行われており、ドライバーが実際に運転する能力があるかどうかを厳密にチェックされます。この評価では、運転シミュレーターや実際の道路での運転を通じて、反応速度や判断力、危険を回避する能力が確認されます。これにより、高齢者が自分の運転能力に対して正確な理解を持つことができ、必要に応じて免許返納を決断することが促されます。

公共交通機関の充実

スウェーデンが成功している理由の一つには、免許返納後の生活を支えるための公共交通機関の整備があります。特に都市部ではバスや鉄道が非常に発達しており、高齢者が免許を手放しても移動に困ることが少ないのです。また、地方でも高齢者向けの移動支援サービスが充実しており、車に頼らずに生活を送ることができる環境が整えられています。

次回は、スウェーデンの取り組みのメリットとデメリット、そして日本がそれを完全に模倣できない理由について詳しく探ります。

次回に続く

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