第2回:第一期・第三期・第四期における充実した支援とその効果

前回のブログで考えた免許返納のプロセスにおいて、さまざまな支援策や情報提供がありますが、その充実度には差があります。以下のように、第一期から第四期までの状況を見てみると、第二期の「議論する時期」にこそ、解決すべきボトルネックが存在することが分かります。
第一期(意識する時期)
高齢ドライバーやその家族が免許返納を考え始めるきっかけとなる時期です。交通事故のニュースや高齢者講習・認知機能検査の案内、友人知人からの口コミ情報など、免許返納を意識させる要因が多く存在します。これらの情報が錯綜し、高齢ドライバーは「自分の運転は大丈夫だろうか?」と考えるようになります。この段階では、啓発パンフレットなど様々な情報を受け入れるための準備ができつつあるため、意識を高めるための支援は比較的充実しています。
第三期(対策を考える時期)
家族から「条件付きでの運転継続」などの了承を得て、免許更新を目指す時期です。この段階では、試験に合格するための情報収集や実践的な対策が重要となります。ネット上には試験対策の情報や関連書籍が多くあり、サポカー(安全運転サポート車)への乗り換え検討や、実車指導を伴う運転講習も用意されています。シミュレーターを用いた練習や運転スキルの自己評価を行うことで、免許更新に向けた準備が整う環境が整っています。
第四期(運転を続ける時期)
無事に免許を更新し、運転を継続する後も、高齢者特有の事故リスクに対応するための様々なサポートが提供されています。衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い急発進抑制装置などの安全装備が普及しており、運転時の事故リスクを軽減するための製品やサービスが数多く存在します。さらに、定期的な健康チェックやドライブレコーダーによる運転挙動の可視化を行うことで、継続的な安全運転の意識を維持することが可能です。
第二期(議論する時期)の「空白」
しかし、ここで見えてくるのは、第二期(議論する時期)での支援が圧倒的に手薄であるという現実です。免許返納について具体的に話し合う段階では、家族間での意見の衝突や「運転を奪われる」という喪失感に伴う感情的な対立が発生しやすく、これがまさにプロセス全体のボトルネックとなっています。このボトルネックを越えられない限り、問題は根本的に解決されることが難しいのです。
特に、この第二期における「説得」ではなく「対話」を促すための具体的な手法が乏しいため、免許返納の話し合いが進まないまま停滞してしまうケースが多いのです。これを解決するためには、ボトルネックとなっている問題を越えるための具体的なアプローチが必要です。
次回は、このボトルネックである第二期のキャズムを越えるための具体的なアプローチとして、「運転継続計画(DCP:Driving Continuity Plan)」の重要性とその立て方について詳しく解説します。どうぞご期待ください。
