年末年始こそ、免許返納について家族内で話し合う絶好の機会
免許返納について家族内で話し合うことは、高齢ドライバーやその家族にとって重要なことです。家族側は、万が一の事故を防ぐために返納を勧めたい気持ちがある一方で、高齢ドライバー側には、これまでの運転歴や生活の一部として続けたい思いがあることも少なくありません。そんな時に、お互いの気持ちを尊重しながら話し合いを深めるためには、現代の高齢者の実態を知ることが重要です。
高齢ドライバーの新たな実像
私たちがこの事業を通じて感じるのは、今の高齢者像が過去と大きく異なっていることです。最近、町内会の役員の方々や応急手当の講習会に参加する皆さんに接する機会がありましたが、驚くほど皆さんは元気で、何事にも前向きにチャレンジされる方々でした。私たちも年齢を重ねることで、親近感を持ちながら接することも増え、彼らのポジティブな姿勢には敬服しています。
私たちより年上の方々は、若者に負けない活力を持ち、スマートフォンやアプリを使いこなし、メールや電話での連絡も自在です。かつて70歳と言えば杖を持ち、腰が曲がっているイメージがありましたが、今の高齢者はその固定観念を完全に覆しており、世代や年齢だけで物事を判断するのはもはや時代遅れとも感じます。年齢だけを理由にドライバーとしての能力を疑うのは、本人にとっても不快であり、家族との信頼関係にも影響を与えかねません。
家族が抱く高齢ドライバーへの不安と現実のギャップ
一方で、家族側が高齢者の運転に不安を抱くのは、彼らの変化を日々見ているからこそであり、十分に理解できる気持ちです。年齢と共に判断力や反応が鈍くなると心配する家族の思いもまた、決して軽視できません。この「不安」と「自信」のギャップを埋めるためには、年齢ではなく、実際の高齢ドライバーの運転の様子や心身の状態を確認する姿勢が重要です。
年末年始を活用した意義ある話し合いを
忙しい日常では、ゆっくりと家族全員が話し合う時間を持つのは難しいものですが、年末年始は親しい人たちが一堂に会する貴重な機会です。この時期にこそ、免許返納をテーマに話し合いを持つことが有意義ではないでしょうか。例えば、家族が親の運転ぶりを確認し、免許返納について意見を交わす場を設けることができます。また、ドライバー本人も、これまでの運転について振り返り、将来の展望について考える時間を持つことで、お互いに冷静に話し合えるでしょう。
免許返納について話すことは、単なる決断の問題にとどまりません。家族の中でお互いの意見や気持ちを理解し合い、年齢を超えた信頼関係を築くための一歩でもあります。この年末年始、家族みんなで高齢ドライバーと一緒に考え、安心して将来を見据える機会をつくってみてはいかがでしょうか。