池袋の悲劇から6年 事故風化への危機感と微力だが問題解決の決意

池袋で6年前に発生した事故の慰霊碑と交差点の図

2019年4月19日、池袋で発生した高齢ドライバーによる悲惨な母子死亡事故から、今日で丸6年が経ちました。本日のニュースでは、事故で最愛の妻・松永真菜さん(当時31歳)と長女の莉子ちゃん(当時3歳)を亡くされた松永拓也さんが、父親の上原義教さんと共に慰霊碑を訪れ、改めて事故への深い悲しみと、二度とこのような悲劇を繰り返してほしくないという切実な思いを語る様子が報じられました。

事故の概要

改めて事故の概要を振り返ります。
6年前のこの日、当時87歳の高齢ドライバーが運転する車が暴走し、歩行者や自転車を次々とはねるという痛ましい事故が発生しました。この事故により、松永真菜さんと長女の莉子ちゃん尊い命が奪われ、9人もの方が重軽傷を負いました。
この事故は、社会に高齢ドライバーによる交通事故の危険性を改めて強く印象づける出来事となりました。

遺族の訴え

本日の報道では、事故から6年という節目に、松永拓也さんと上原義教さんが慰霊碑を訪れ、静かに手を合わせる姿が伝えられました。
松永さんは「手を合わせたとき浮かんだのは、真菜と莉子の笑顔や『お父さん』と呼んでくれる2人の声でした。命日というのはとても悲しさを感じます。だからこそ、こんな思いは誰もしてほしくないです」と、改めて深い悲しみを吐露されました。
また、昨年5月には、松永さんと上原さんが事故を起こした飯塚幸三元受刑者と面会し、悲惨な事故を繰り返さないために言葉を交わしたことも報じられました。
このことについて松永さんは、「家族に看取られることなく刑務所で亡くなったことは、すごく悲しいことだと感じました」と複雑な心境を語りつつ、「交通事故は誰も幸せにならない。だから池袋暴走事故を知った、また思い出したという時に、加害者にも被害者にもなりたくない、誰も幸せにならないと、改めて思うきっかけになってほしいです」と強く訴えかけました。
また、松永さんは高齢ドライバー問題について、「免許返納はあくまで1つの手段でしかありません。交通インフラの問題とか、車の技術はどうあるべきなのかとか、当事者だけが考えるのではなく、国や自治体もしくは国民全体で考えるべき時期なのだと思います」と、より広い視野での議論の必要性を訴えました。
専門家からは、高齢ドライバー自身が運転レベルを正確に認識し、対策を取ることの重要性や、家族や自治体、企業など様々な側面からのアプローチが必要であるという指摘もされています。警察庁のまとめによると、75歳以上の高齢者による交通死亡事故は増加傾向にあり、運転操作のミスが主な原因であるということです。

私たちの決意

松永さんや今日の報道が強く訴えているのは、この悲しい事故の事実と、そこから得られた教訓を決して風化させてはならない、ということです。私自身もこの事故をきっかけに、微力ながら問題解決のために活動を続けていますが、その中で、社会全体の関心が薄れつつあるのではないかという危機感を覚えています。
多くの方に私たちの活動内容を説明する中で、お相手の方に事故の再発防止策を伺うと「免許返納を勧めている」という回答以上の具体的な対策や取り組みについて聞くことが少ないと感じています。
私がこれまでに接した方がたまたまそうであっただけで、6年前の事故を受けてそれ以外の多くの方が、それぞれの立場で努力され、新しい技術等がどんどん世に出ているもの事実です。しかし、事故の再発防止にかける予算がどんどん削られている、などの話を度々耳にすると、根本的な解決は何もできていないのに・・・という懸念が拭えません。
世の中には、高齢ドライバー問題以外にも多くの解決すべき重要な課題があり、予算配分には限界と優先順位があることも重々理解しています。それでも、この事故を忘れずに、少しでも良い方向へ進めたいと強く願う人々がいる、ということも知ってほしいと思います。
そして、この事故を受けて同じ課題意識を持ち、行動している仲間たちと連携しながら、現実的な解決策を探し、それを社会に広げていくことこそが、亡くなった二人の供養になり、未来の悲劇を防ぐことに繋がると信じ、これからも活動してまいります。

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