ゴールデンウィーク初日に東北自動車道で発生した逆走事故 ここから我々は何を学ぶべきか

東北自動車道で逆走が発生したとされる箇所の図

写真出典:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250427/k10014790831000.html

ゴールデンウィークの幕開けとなったこの日、心痛む交通事故の知らせが飛び込んできました。お亡くなりになられた方のご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、負傷された方々の一日も早いご回復、そして関係各位による事故原因の徹底究明と再発防止を切にお願いするばかりです。これまで高速道路の逆走事故といえば、高齢ドライバーによるものが多く報道されてきた印象がありましたが、今回の事故は働き盛りの世代で発生しました。この事実は、逆走という危険な行為が決して特定の層だけの問題ではなく、すべてのドライバーに起こりうる可能性を秘めていることを示唆しており、決して他人事ではなく、その対策の必要性を改めて強く感じさせられます。

事故の概要

今回の事故は、2025年4月26日午後10時頃、栃木県那須塩原市の東北自動車道上り線で発生しました。報道によると、逆走した乗用車がまず走行中の車両と接触した後、約3キロメートルにわたり逆走を続け、別の車両と正面衝突。この事故により、逆走車を運転していたAさん(42歳、宇都宮市在住)と、衝突された車両を運転していたBさん(56歳、岩手県北上市在住)の二名が亡くなられました。さらに、この事故による渋滞中に発生した大型トラックを含む多重衝突事故により、Cさん(60歳、埼玉県川越市在住)がお亡くなりになり、一連の事故で10名の方が重軽傷を負うという大惨事となりました。

現場検証の結果、逆走した車両には目立ったブレーキ痕が確認されなかったとのことです。警察は、逆走車が減速することなく次々と衝突した可能性もあるとみて、慎重に捜査を進めています。また、最初の接触事故が発生する約500メートル手前の黒磯板室インターチェンジ付近で「逆走車がいる」との通報が複数寄せられていたことから、逆走車はこのインターチェンジから高速道路に進入し、3キロメートル以上にわたって逆走した可能性が高いとされています。警察は、ドライブレコーダーや監視カメラの映像などを解析し、逆走に至った経緯や事故当時の状況を詳しく調べています。

この事故は、今朝も複数の情報番組でも取り上げられ、コメンテーターの間で活発な意見交換がなされました。特に、逆走車両が進入した可能性のある黒磯板室インターチェンジの構造的な問題点が指摘されていました。料金所を通過後、すぐに下り(左側 福島方面)と上り(右側 東京方面)で道路が分岐する構造となっており、あるコメンテーターは、本来下り(左側 福島方面)に向かうべき車両が誤って上り(右側 東京方面)に入り込み、その後のT字路で本来は右折しかできないのに、間違いを”帳消し(一種のリカバリープラン)”にするように敢えて左折をしてしまったのではないか、という心理的な状況を推測していました。

しかしながら、最初に接触事故を起こした時点で車を止めるならまだしも、逆走を続けた点については、通常のドライバーの行動心理からは理解しがたいという印象を個人的には受けました。もし最初の接触事故の時点で適切な対応が取られていれば、今回の悲劇は避けられたかもしれないと考えると、とても残念です。

本来の対処方法の確認

それでは、万が一、高速道路で逆走してしまった場合、あるいは目的のインターチェンジを通り過ぎてしまった場合は、どのように対処すべきでしょうか。

もし誤って逆走してしまったら逆走に気付いたら

最も重要なことは、二次的な事故を防ぐことです。周囲の状況を安全に確認し、ハザードランプを点灯させ、できる限り速やかに路肩や路側帯など安全な場所に停車します。高速道路上でのUターンは絶対に避けなければなりません。停車後は、速やかに車両から離れ、ガードレールの外側など安全な場所に避難し、設置されている非常電話または携帯電話(110番)で通報します。

(個人的には正しい走行をしている対向車がビュンビュンとスピードを上げている状況で逆走車を路肩等まで移動させることも至難の業、という気もしますが)

もし間違えて、目的のインターチェンジを通り過ぎてしまったら

焦らず、そのまま次のインターチェンジまで走行してください。高速道路上でのUターンやバックは非常に危険な行為です。次のインターチェンジの一般レーンで料金を精算する前に、料金所のスタッフに誤って通り過ぎてしまった旨を伝えてください。ETCを利用している場合は、事前にETCカードを取り外した上で一般レーンまたはETC/一般レーンに進み、同様に申し出てください。料金所スタッフの指示に従えば、多くの場合、目的のインターチェンジまで戻るための案内と料金の調整が行われます。多少時間はかかりますが、安全を最優先に落ち着いて対処することが重要です。

まとめ

私自身、幸いなことに高速道路での逆走経験はありませんが、不慣れな土地で一方通行を誤って逆走し、対向車にパッシングされて気づいた経験はあります。ですから、今回の事故を偉そうに他人事として論じるつもりはありません。しかし、このような痛ましい事故を二度と繰り返さないためには、その発生メカニズムを深く理解し、実効性のある対策を講じることが不可欠だと改めて思います。

今回の事故で逆走が始まった可能性のあるインターチェンジの映像(本ブログトップの画像)を見る限り、日中と夜間での視認性の違いはあるにせよ、路面の矢印表示や色分け、標識や信号機の設置状況など、NEXCO東日本の対応が著しく不十分であったとは個人的には感じません。ただし、初めて利用するルートであれば、多少の配慮が必要なのかもしれません。

私が知る限り、同様の構造を持つインターチェンジとして、東関東自動車道の四街道インターチェンジが挙げられます。実家への帰省でよく利用するのですが、ここでは東京方面からの出口と成田方面への入口が平面で交差しており、成田方面に行く車のための信号機はなく「止まれ」の表示のみです。このような場所では、かえって信号等に頼らずにドライバー自身の目視による確認を促す、という効果があるのかもしれませんが、今回の事故のような事態が身近なところでも起こりうる可能性を示唆していると思います。四街道インターチェンジに構造的な立体化をすることはスペース等の制約で難しいとしても、今回の事故調査の結果を踏まえ、二度とこのような悲劇を繰り返さないための具体的な対策を確実に実施していく何らかのお手伝いができればと思います。

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