第9回:「運転能力を客観的に証明する方法」⑧運転継続計画(DCP)の策定

計画を立てる行為のイメージ図

あなたは「計画を立てる」と聞くと、どのように感じますか?私はサラリーマン時代、年度初めの事業計画作成が苦手でした。責任感が重く、大量の資料を揃える作業に追われ、精神的にも大きな負担を感じていました。

一方で、旅行の計画になると話は異なります。目的地が決まると、観光地やホテルの情報を調べることが楽しくて仕方ありません。同じ「計画を立てる」という行為でも、目的や興味、立場が違えば感じ方が大きく変わるのです。

この経験から、運転を続けたい高齢ドライバーが「自分の運転に関する計画」を立てるときも、自身のため、という目的が明確であれば、前向きな目標として取り組むことができるのではないでしょうか。今回ご紹介する「運転継続計画(DCP:Driving Continuity Plan)」は、そんな計画づくりをサポートするものです。

これまでのシリーズでは、運転能力を証明するためのさまざまな方法をご紹介してきました。それらの多くは受動的なアプローチが中心でした。例えば、認知機能検査やドライブレコーダーの活用などが該当します。

一方で、DCPは「自分で未来を切り開く」能動的な取り組みです。計画を立てることは、ある意味大変な作業ですが、自分自身に関係が深い、意味のある計画であれば、それはポジティブな行動につながります。DCPは、運転を継続したいという意思を形にし、家族と共に未来を描くための重要なツールです。

DCPの作成を勧める3つの理由

  1. 家族との信頼関係を深められる
    DCPは、家族の希望や要望を計画に反映することで、議論を前向きに進める手助けになります。家族と高齢ドライバーの間の意見をすり合わせることで、信頼関係がより強固になります。
  2. 高齢ドライバー自身の目標が中心
    ドライバーがどのように運転を続けたいかを計画の中心に据えることで、モチベーションを高め、実行可能性が向上します。
  3. 具体的な行動計画で実現性を担保
    DCPでは、目標と現状を比較し、その差を埋めるための具体的な行動を示します。これにより、実現可能な計画を作り上げることができます。

DCPはどのように作られるのか?

DCPは、高齢ドライバーとその家族が協力して作成する「夢のある計画」です。以下のステップを通じて構成されます。

  1. 家族の希望・要望を整理する
    家族が高齢ドライバーに期待する運転の条件や懸念を明確化します。これにより、家族の視点を計画に反映することができます。
  2. 高齢ドライバー自身の目標を明確にする
    ドライバー自身が運転をどのように続けたいか、どんな形で継続したいかを具体化します。
  3. 現在の運転状況を客観的に把握する
    運転スキルや頻度、健康状態など、現状をしっかり整理することで、計画を現実的なものにします。
  4. 目標と現状の差を埋める行動を策定する
    安全運転講習の受講や運転範囲の調整など、具体的な行動を計画に落とし込みます。

このプロセスを通じて、DCPは「家族」と「高齢ドライバー」の両方の希望を反映し、現実的かつ希望のある計画として形作られます。

DCPを実行するには、メリットとデメリットの両方を正しく理解することが重要です。

メリット

  • 家族との信頼関係を構築できる
    家族の意見を反映した計画が、対話をスムーズにし、信頼を深めます。
  • 生活全般にポジティブな影響を与える
    計画を通じて運転以外の生活にも目標が生まれ、充実感を得られます。
  • 安心感を提供する
    計画の存在が、高齢ドライバー本人と家族双方に安心感を与えます。

デメリット

  • 実行には努力が必要
    計画を作るだけでは意味がなく、継続的な努力が求められます。
  • 柔軟な対応が求められる
    年齢や健康状態の変化に応じた計画の修正が必要ですが、それも成長の一部と考えることができます。

まとめ

運転継続計画(DCP)は、高齢ドライバーと家族が協力して作成する「未来を描く計画」です。これにより、運転を継続するための安心感が得られ、家族との信頼関係が強化されます。DCPは、ただの運転能力の証明ではなく、安全な運転を続けるための新たな一歩です。

これで「運転能力を客観的に証明する方法」シリーズは完結です。最後までお読みいただきありがとうございました。引き続き、安全運転や生活の質を向上させる情報をお届けしてまいります。

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