知らぬが仏の落とし穴:あなたの過信が招くリスクとは?

現状を知るための自らの体験結果の図

先日、JAFが主催する講習会「長く!楽しく!安全な!ドライバーへの道のり ー運動能力をチェック&トレーニングー」に参加させていただきました。この講習会は50歳以上のドライバーを対象とし、安全運転を考える良い機会となる内容でした。

スローエアロビックの紹介があったり、運転能力の低下にまつわる特有事故事例などについて学べましたが、私にとって特に印象的だったのが運転適性の体験コーナーでした。
内容は次の2つ:

  1. 光の反応速度測定(クイックキャッチ)
    左右2本のチューブ内を光が上から下に下がってくるのを見て、指定の範囲に来たらボタンを押したり、指定の場所を握るというもの。
  2. ボタン反応速度測定(クイックアーム)
    左右に配置された複数のボタンがあり、同時に2つ点灯したボタンを押す、という行為を一定時間繰り返すもの。

これらのテストを数回実施し、その結果から反応速度からみた”年齢”が提示されました。ショックだったのは、一方の結果が実年齢(57歳)よりも悪かったことです。子供たちとゲームをしても、なかなか同じように動けないと頭では分かっていたことでしたが、数値として目の当たりにすると、思った以上に堪えました。

現実を知る勇気

一般的に問題解決では、現状とあるべき姿のギャップを明らかにすることが出発点になります。しかし、現状を知ること自体に抵抗を感じる人は少なくありません。

誰しも”知りたくない現実”や”根拠の薄い自信”があり、「知らないほうが幸せ」という感情はよく理解できます。それを象徴する言葉に、「知らぬが仏」というものもあります。しかし、運転に関しては、この感情を封印しなければなりません。安全運転を続けるためには、自分の能力や現実を正確に把握し、適切な対応を取ることが不可欠です。

現実を直視する重要性を示す事例

  1. 健康診断を避けた結果、病気が進行
    「どうせ大丈夫」と軽く考え、定期的な健康診断を受けなかった結果、後になって深刻な病気が見つかり、早期治療のチャンスを逃した例があります。たとえば、プロ野球界のレジェンドである王貞治さんは、胃がんを早期発見したことで適切な治療を受け、命を救われました。彼の例は、健康診断の重要性を象徴しています。
  2. 財務状況の悪化を見過ごしてしまった企業
    「一時的な赤字だから」と楽観視し、財務状況の確認を怠った企業が、問題を棚上げし続けた結果、経営破綻に追い込まれた例があります。たとえば、有名企業である東芝の不正会計問題が発覚し、経営に深刻な影響を与えたことは記憶に新しいです。小さな問題を放置することで、大きな危機を招くことがあります。
  3. 災害対策の不備が引き金となった事例
    「大きな災害なんて自分たちには起きない」と油断して、防災訓練やハザードマップの確認を怠った地域が、震災で大きな被害を受けたケースがあります。具体例としては、東日本大震災で避難計画が不十分だった地域の被害が顕著で、事前準備の重要性が浮き彫りになりました。

これらの事例は、現実を直視しなかったことで生じた深刻な結果を示しています。現実を受け入れることが、次の行動につながる第一歩です。

前向きに現状を受け入れる

現状を知ることは、何かを失うことにつながる場合もあります。例えば、自信を失ったり、これまで築いてきた計画を見直さなければならないかもしれません。しかし、それ以上に重要なのは、自分の目指す目標を達成するために、地に足をつけたスタートを切ることです。

足元が緩ければ、どんなに良い計画でも崩れ去ってしまいます。目標を達成するためには、スタート地点を正確に見定め、目標に向かう道筋が正しいか確認しなければなりません。また、現状を把握することで、後々の足元をすくわれるリスクを防ぎ、時間のロスを最小限に抑えることができます。

さらに、現状を見て目先や目標を変えることも、限られた時間を有効に使う上では貴重な判断です。24時間という時間は、人類全てに平等に与えられています。それをどれだけ有効に活用できるかは、現状を直視する姿勢にかかっています。

現状把握は、未来への投資であり、虎の子の時間を最大限に活かすための重要な行為です。私自身も、この姿勢を忘れないよう、自分に言い聞かせていきたいと思います。

一緒に頑張りましょう!

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