高齢ドライバーのアクセルとブレーキ踏み間違い事故を防ぐための対策や方法を考えてみた!

高齢ドライバーによる痛ましい交通事故が後を絶ちません。事故発生の詳細な情報については警察の捜査と発表を待つ必要がありますが、報道などを見ていると、その原因の一つとして「アクセルとブレーキの踏み間違い」が多いように感じられます。今回は、この踏み間違い事故を未然に防ぐために、普段の運転で私たちが意識すべきこと等について考察してみたいと思います。
右足一本でアクセルとブレーキを操作しているの原則
運転の基本として、右足でアクセルかブレーキのどちらか一方のペダルを操作する、という意識を改めて持つことが第一と考えます。アクセルとブレーキを同時に踏むことはありません。そして車が加速しているときや高いエンジン音を発しているときはアクセルを踏んでいる、車が減速しているときはブレーキを踏めている、という原則を確認することが安全性を高める上で大切だと考えられます。
以前のブログでも書きましたが、事故を起こした場合に、車が故障したのが原因で勝手に暴走した、と考える傾向がありそうですが、事故原因の99%近くはドライバーの操作ミス、と断言できると思います。常に車の動きを見て、自分の考えているイメージ通りに走行できているか、車外の風景が変化する様子をフィードバックしながら、行動を修正したいものです。
最近のSNS等の事故発生の画像等を見ると、比較的狭い駐車場などでの事故も多い印象を受けるため、このような場所ではより一層、足元の操作に集中する必要がありそうです。
駐車場では「アクセル踏まない」を基本に
オートマチック車の場合、駐車場が平坦な場所であればクリープ現象を利用して車を動かすことができます。前進するにしても後退するにしても、アクセルを踏む頻度は、一般の道路に比べて格段に少ないはずです。もちろん、全く踏まないとは言えませんが、ほとんどのケースでアクセル操作は必要ないと言っても過言ではないでしょう。
私が自宅の駐車場に車を止めるときはどうしているか、自身の運転を客観的に観察してみると、ギアをリバース(R)に入れた後はアクセルは使わず、ハンドルとブレーキだけ使っていることが確認できました。だからこそ、駐車場内では「右足は常にブレーキペダルに置く」、そして、アクセルを使わずにブレーキ操作のみでスピードをコントロールしながら移動する、という意識を持つことが、事故防止に繋がるのではないでしょうか。
アクセルを踏むのは、本当に必要なごくわずかな場面だけ、そのときはくれぐれも慎重に、という認識を持つことが大切だと思います。
ブレーキ操作への意識と練習
ブレーキを踏んでいるつもりでアクセルを踏んでしまう、この誤った行動をなくすためには、改めてブレーキ操作に意識を集中することが重要です。
70歳以上のドライバーに義務付けられている高齢者講習の中には運転技能検査が含まれています。その中には「段差乗り上げ」という課題があります。具体的には、アクセルペダルとブレーキペダルが適切なタイミングで操作できるか、を検査するためのもので、はじめにアクセルペダルを踏んで段差を乗り上げ、アクセルペダルとブレーキペダルを踏み替えて車を停止できるか、確認します。この課題をクリアできているなら、その時点では踏み間違いの心配は少ないかもしれませんが、その技術を維持するためには、普段からアクセルとブレーキの操作を練習できると良いかもしれません。
そのようなアクセルとブレーキの操作を練習する上で有効だと思うのが、狭い道路で方向転換する場合などに実施する「切り返し」だと思います。少し前に出てはハンドルを切り、ハンドルを反対に切って後退する、という動作を繰り返すことで、自然とアクセルとブレーキの踏み分けや微妙な踏み込み操作、そして車幅や前後感覚を養うことができます。これを実際の運転技能検査で行うことは時間的に難しいかもしれませんが、自主的な練習として取り入れる価値はあるのではないでしょうか。練習場所の確保が一番の課題になりそうですが、近所の、他の人に迷惑をかけない、安全な場所を見つけて普段から試してみることをお勧めします。
安全確保と「もしも」の備え
日頃の運転では「アクセルは安全が確保されている状況でのみ使用し、それ以外は基本的に右足はブレーキペダルに置いておく」という意識を持つことが大切、と教習所で教わった気がします。実際の運転でそれを実行することは難しいと思いますが、せめて気持ちだけでも、そのようなつもりで運転することが重要なのかもしれません。
そして、未来の技術として期待したいのは、音声認識によるアクセル解除機能です。大きな声で「止まれ!」という言葉を認識してアクセルが解除されるような機能があれば、万が一の踏み間違いの際に有効かもしれません。非常停止ボタンの設置も考えられますが、緊急時には声の方が出やすいという人間の特性を考えると、あらかじめ決めたキーワードや音声を認識して自動的にアクセルを解除するシステムは、一つの安全対策になるのではないでしょうか。もちろん、本当に驚いた時には声が出ない可能性も考慮する必要があり、車内での普通の会話の中で出た「止まれ!」という言葉に誤って反応されてしまうことも懸念されますが、素人考えのアイデアをたたき台として、関係される方々の技術的な進歩に期待したいところです。
高齢ドライバーのアクセルとブレーキの踏み間違い事故を防ぐためには、運転者自身の意識改革とそれに伴う行動、それをサポートする技術の進化が不可欠です。日々の運転の中で、今一度自身の運転を見直し、安全運転を心がけていきましょう。