高齢ドライバーの運転問題 解決の切り札は「孫世代」か? 世代間の対話が”雪解け”を生む!

「失敗は成功のもと」とはよく言ったもので、何か新しいことを始める時、特にそれが前例のないものであれば、試行錯誤は避けられません。現在私が取り組んでいる事業も、多くの方にとって聞いたことがない、耳慣れないものであるため、「仮説→検証」の繰り返しが不可欠です。
当初、私は70歳以上の高齢ドライバーとそのご家族(40代後半から50代前半)を主な対象者、いわゆる「ペルソナ(サービスを利用してくださる典型的なユーザー像のこと)」として想定していました。しかし、先日行った高齢ドライバーの方々へのインタビューを通じて、意外な事実が浮かび上がりました。それは、運転に関する家族からの意見は、配偶者や子供たちよりも、孫からのものが数も多く、影響力を持つという点です。
さらに、私の事業ホームページに関するGoogleアナリティクス4の分析結果が出て、18歳から34歳の若い世代からのアクセスが多いことが判明しました。これらの事実は、私の当初の仮説が必ずしも正確ではなかった可能性を示唆している、と感じました。
新たな仮説
「目に入れても痛くない」という言葉があるように、孫は祖父母にとって特別な存在です。祖父母(親)と子供の関係、祖父母(親)と孫の関係は、両者を比較した場合、一般的に何か違いがあるものなのでしょうか。生成AIとの対話を通じて、この点に関する客観的なデータを探してみましたが、明確なエビデンスは見つかりませんでした。
しかし、経験則として、子供の願いは祖父母(親)が聞き入れてくれなくても、孫の願いは叶えてしまう、というケースは少なくないのではないでしょうか。つまり、祖父母(親)世代は子供の意見よりも、孫の意見に耳を傾ける傾向があると考えられます。
もし、子供からの運転に関するアドバイスや意見が祖父母(親)世代に響かないのであれば、孫、つまり若い世代の力を借りるという新たなアプローチを検討する価値はあるのではないでしょうか。
注意点
ただし、この際、とても重要な注意点があります。それは、高齢者に「免許返納」という選択肢だけを提示しないことです。孫のありがたい言葉であっても、受け入れられることとそうでないことがあります。一方的な選択肢の提示は、祖父母(親)と孫の関係に亀裂を生じさせる可能性もあります。
祖父母(親)の意向を尊重しつつ、それに沿った提案をすることが重要です。そこで提案したいのが、「運転継続計画(DCP:Driving Continuity Plan)」の作成です。
DCPとは、運転をする高齢者の身体機能の変化に合わせて、安全な運転を継続するために必要なことは何かを考え、それらをまとめたの計画のことです。DCPを作成し、実行することで、高齢者は目的意識を持って行動することができ、生活の質を維持するとともに、家族は安心感を得ることができます。しかし、もし計画の作成やその実行が難しい場合は、運転卒業を検討する良い機会となるのではないでしょうか。
最後に
以前、あるセミナーで講師の方がおっしゃっていた言葉に「仮説は否定するためにある」というものがあります。仮説検証は、自分の都合のいいように検証しがちで、盲目的になりがち。そして、それが元で失敗することがある。だから偏見を排除し、客観的な事実に基づいて判断・行動することが重要、と教えてくれました。
今回の経験を通じて、私は自分の仮説を見直し、問題の本質に迫る必要性を痛感しました。今後は、ペルソナを再考し、より効果的なアプローチを模索していきたいと思います。
高齢ドライバーの運転問題は、一筋縄ではいかない複雑な課題です。しかし、家族(子・孫)の協力と適切な計画があれば、祖父母(親)の安全と生活の質を両立させることは可能です。今回のブログが、その一助となれば幸いです。