安全運転を長く続けるための計画を立てるコツ 大谷選手も実践したノウハウから学ぶ

人生100年時代と言われる今、高齢になっても運転を続けることは、生活の質を維持する上でも重要な選択肢の一つです。しかし、加齢に伴う身体能力や認知機能の変化は避けて通れません。安全運転を長く続けるためには、こうした変化に向き合い、どう乗り越えていくかが鍵となります。
ただ、多くの高齢ドライバーの方は、事故を起こさないために技術面、ハード面、情報面に目が行きやすく、それらの強化を考えがちです。しかし、本当に大切なのは、安全運転を続ける「内的目的」、つまり「安全運転が必要なマインドや理由」を育むことだと考えています。このマインドを持つことで、初めて技術、ハード、情報の3つの要素が有機的に結びつき、相乗効果を発揮して、長く安全な運転につながると思います。
では、どうすればそのマインドを育み、具体的に行動に移せるのでしょうか?
その具体的な計画作りのヒントとなるのが、大リーグで活躍する大谷翔平選手が高校時代から活用していた「マンダラチャート」です。この作成手法は、原田隆史氏、柴山健太郎氏の著書『一流の達成力 原田メソッド「オープンウィンドウ64」』に詳しく書かれています。今回は、この書籍を参考に、安全運転を長く続けるための「計画の立て方」を考えてみたいと思います。
目標達成を阻む3つの壁を乗り越える
まず、多くの人が目標を達成できない要因は、以下の3つに集約されると本の中では指摘しています。
- 行動が不明確: 目標を立てても、具体的に何をすれば良いかわからない。
- ツールがない: 目標達成を支援する適切なツールがない。
- 目標が偏っている: 一つの目標に固執し、多角的な視点が欠けている。
特に「目標が偏っている」点については、私たちが無意識に抱く「目標は一つであるべき」という固定観念が原因かもしれません。本の中では、目標には「私・有形の目標」(自分自身のスキルや健康、達成した時の感情など)と、「社会、他者・無形の目標」(社会や他者への貢献など)の二つがあると説明しています。この二つのバランスが取れて初めて、目標達成の相乗効果が生まれる、とのことです。
例えば、「安全運転を続ける」という目標を立てる場合、「私・有形」の目標は「週末に近所を運転して気分転換する」や「家族を乗せて安全にドライブする」といった、自身の喜びや感情につながるものが挙げられます。「社会、他者・無形」の目標は、「事故を起こさず地域社会に貢献する」や「運転を続けて、地域の行事に参加する」といった、他者や社会との関わりの中で生まれる目標です。この二つの目標を意識することで、より深く、長く続く原動力が生まれます。
「マンダラチャート」で計画を立てる具体的なコツ
本書で紹介されている「オープンウィンドウ64」、通称「マンダラチャート」を使った計画作りのポイントは以下の通りです。
1. 思考の4つの側面「心・技・体・生活」を意識する
目標達成には、技術(技)だけでなく、精神力(心)、健康(体)、そして充実した私生活(生活)のバランスが不可欠です。この4つの側面から目標を多角的に捉えることで、偏りのない計画を立てることができます。
- 心: 安全運転へのモチベーションを保つ、冷静な判断を心がける、といったメンタル面。
- 技: 運転技術の維持・向上、最新の安全機能の活用法を学ぶ、といったスキル面。
- 体: 定期的な運動や健康的な食生活を心がけ、身体機能を維持するといったフィジカル面。
- 生活: 家族との時間を大切にする、運転を楽しみの一つにするといった私生活面。
特に重要なのは「心」と「生活」の充実だと本の中では説明しています。私生活が満たされていなければ、ポジティブな感情は生まれにくく、結果として目標達成への意欲も失われがちだからです。
2. 行動計画を「期日行動」と「ルーティン行動」に分ける
計画は、具体的な行動に落とし込まなければ意味がありません。行動には以下の2つがあります。
- 期日行動:
「いつまでに、何をやるか」という具体的な期限を設けた行動です。例えば、「来月までに安全運転の講習会に参加する」といったものです。 - ルーティン行動:
毎日、または定期的に繰り返す行動です。例えば、「毎朝30分、家の周りを散歩する」や「週に2度はカラオケに行って歌の練習をする」といったものが挙げられます。
これらを具体的な数字や期日を設定することで、目標達成への道筋が明確になり、モチベーションを維持しやすくなります。そして、ルーティン行動は14日間連続で実施できると習慣化し、無意識に行動できるようになる、と紹介されています。
3. 「応援してくれる人」を喜ばせる視点を持つ
目標は一人で達成するものではありません。家族や友人をはじめ、あなたを応援してくれる人たちの存在が不可欠です。彼らを喜ばせるような行動目標を立てることで、さらなるモチベーションが湧き、目標達成を加速させます。
大きな夢でなくても、挑戦する喜びを
今回のブログでご紹介した計画の立て方は、高齢ドライバーの方々が「安全運転を続ける」ためのものです。これは、大谷選手のように「不可能を可能にする」といったスケールの大きな夢とは少し違うかもしれません。しかし、それだけ実現や達成の可能性が高い、ということです。
これまで「当たり前」にできたことが、加齢によって少しずつ難しくなる中で、その「当たり前」を継続するために計画を立て、挑戦することは、人生を能動的に生きる素晴らしいチャレンジだと思います。それは、単に安全運転をするという目的を超え、昔感じたような「ワクワク感」をもたらしてくれるのではないでしょうか。
ただ「自然の流れ」に身を任せて生きるのではなく、自らの意思で積極的に人生を切り開いていく。そんな前向きな高齢ドライバーの姿は、私たちにとっても大きな学びとなります。
さあ、あなたも「安全運転を続ける」という目標を実現するため、ワクワクするような計画を立ててみましょう!