アクティブな高齢ドライバーの皆様! 運転を長く楽しむためのコツはご存知ですか?

これからも安全に車を運転したいと考えている高齢ドライバーの皆様へ。
買い物、通院、趣味、家族の送迎等々、現役を引退した後も相変わらず忙しい日々を過ごしておられることと存じます。このような活動に自動車をフルに活用されている方々にとって自動車は単なる乗り物ではなく、自らの足となり、人生を支える相棒のような存在かもしれません。
中には、運転免許証を取得して50年以上が経ち、家族よりも長い時間を共にしている、というベテランドライバーの方も多い思います。その分、運転のテクニックには相当な自信をお持ちになり、ハンドルを握る時間がかけがえのないひとときになっているのではないでしょうか。
このように貴重で充実した時間を少しでも長く続けるためには何が必要か、と考えたことはありますでしょうか。
運転生活を脅かす3つの要因
もし、この夢のような生活に「待った!」がかかるとしたら、その大きな原因には主に次の3つあると考えています。それは「病気」、「事故」、そして「免許返納」です。
社会人として何かと苦労が多かった現役世代を引退し、ご自分やご家族中心の安らかな生活を送っている。そんなやすらぎのひとときを、神様のいたずら(「病気」、「事故」、「免許返納」)で邪魔される。それは「心外だ」と感じる人がほとんどだと思います。でも、だからといって、それらを回避するために毎日神頼みをするというのも、心情的には理解できますが、冷静に考えれば非科学的なアプローチです。では、どうすれば良いのでしょうか。
それは、自分ではコントロールできない「関心の輪」に目を向けるのではなく、自分自身でコントロールできる「影響の輪」に働きかけることです。つまり、今の自動車と共にある生活を、少しでも長く、例えばご自身が目標とする時まで運転を続けられるように、自らで対策を立て、それらを実行することが肝心です。
これなら、ご自身の努力次第で、科学的、現実的にやりたいことが自らコントロールでき、その結果、運転が続けられる可能性が高まる、と考えています。他力本願ではなく、自力で道を開く。そのようなアクティブな活動が必要だと考えられます。
安全運転のための4つの要素
では、具体的に何から始めたら良いのか。そのような疑問が湧いてくることでしょう。私たちは、高齢ドライバーの皆様が安全に運転を続けられるために、4つの重要な要素があると考えています。その4つとは「技術」、「ハード」、「情報」、そして「マインド」です。それぞれの要素を簡単に説明します。
- 技術:
加齢に伴う身体能力の変化を補い、運転操作や判断力を維持・向上させるための訓練などです。 - ハード:
安全運転を支援する先進安全技術の活用や、ご自身の身体能力に合った車両や運転補助装置などです。 - 情報:
最新の交通ルールや道路状況、運転に関する注意喚起などにより、適切な判断を促すための知識です。 - マインド:
ご自身の運転能力を正確に把握し、常に安全運転を心がける意識や気持ちです。
私たちは、この考え方をもとに、世の中で実施されている安全運転のための様々な取り組みをこの4つの観点で分類してみました。その結果、ある驚くべき事実に気づきました。それは、マインドに関する取り組みが、他の3つに比べて極端に少ないということです。
もちろん、マインドに関する取り組みが全くないわけではなく、関係する方々が知恵を絞り、工夫を凝らしてくださっています。しかし、マインドは個人の領域に踏み込む部分であるため、アプローチが難しい、という実情がその背景にありそうです。
また、4つの要素は「重要度」という観点からみると、どれも均等というわけではなさそうです。そこで、あえて優先順位をつけるとしたら、一番の基礎となるのが「マインド」、そして、その上に他の3つの要素が乗る、という構造になっているのではないかと考えています。確かに、マインドが整ってはじめて、技術も、ハードも、情報も活きてくる、という考え方は一理ありそうです。しかし、その一番重要な要素であるマインドが手薄である、ということこそが、高齢ドライバーの安全運転を脅かす最大の原因になっているのではないか、と私たちは考えています。
マインドを強化する「最大の壁」とは
では、マインドを強化する対策さえ取れば良いのか、というと、それが簡単なことではありません。その最大の壁として立ちはだかるのが、高齢ドライバーの運転に対する自信だと考えています。
高齢ドライバーの皆さんはこれまで様々な講習会などに参加し、安全運転等に関する様々な話を聞いたことがあると思います。しかし、話の内容は「釈迦に説法」と感じるようなものばかり。それは長年自動車に乗っている、という自信と経験からくるものだと思います。ですから、話を聞いても「右耳から入って左耳に抜けてしまう」ことが多いのではないでしょうか。このような状態では、とてもマインドの強化など期待できません。
そこで高齢ドライバーの左耳に栓をして、話が頭の中にしっかりと留まらせる。そのような発想で、これまでのやり方とは異なるアプローチが必要です。その際一番気を付けなければいけないのは、高齢ドライバーが持つ自信の高さ。でも、それはデメリットではなく、その特徴を最大限活用することができれば、鬼に金棒となりうる強みだ、と考えています。ではそのために何をすべきか?その具体的な方法や考え方を次回のブログで解説していく予定です。どうぞご期待ください。