逆走ゼロを目指して!ETC活用が救世主となるか?その可能性を探る

皆さんは、睡眠中にアイデアが閃くことがあると聞いたことがありますか?日本の心理カウンセラー大嶋信頼氏の著書『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』(参考:)(ダイヤモンド社、2023年)では、「無意識」が記憶を整理し、新しいアイデアが生まれると述べられています。私もこの考え方の「信者」の一人で、これまで何度も助けられてきました。そして昨晩、「ETCの技術を活用して逆走をドライバーに知らせる仕組みが作れないだろうか?」との「お告げ」を得ました。逆走事故は、日本各地で発生しており、その多くが重大事故につながるリスクを抱えています。そこで、逆走発生のメカニズム、その防止策、そして逆走時の迅速な通知方法について改めて考察してみました。

逆走事故の現状と課題

逆走事故の頻度と原因

高速道路での逆走事故は、「2日に1回」の割合で発生しており、年間約190件に上ります(2017~2022年平均)。その原因の約6割は「道間違い」によるもので、高速道路出口やインターチェンジで誤進入するケースが多いです。また、逆走事故は死亡事故につながる割合が高く、他の事故に比べ致命的な結果を招く可能性が約40倍にもなると言われています。(JAFMate

既存対策の限界

現在、多くの逆走防止対策は視覚的手法(標識や路面表示)に依存しています。しかし、人間には「正常性バイアス」や「錯覚」の影響で不都合な情報を無視する傾向があります。例えば、「ミューラーリヤー錯視」のような視覚的錯覚もその一例です。

  • 正常性バイアス:人は自分にとって都合の悪い情報を無視しようとする傾向があります。(参考:玉川大学
  • ミューラーリヤー錯視:矢羽の向きによって同じ長さの線分でも異なる長さに見える錯覚。(参考:LabBRAINS

このように視覚情報だけでは限界があるため、新たな対策として聴覚情報をフルに活用する必要性があるのではないでしょうか。特に、マニュアル車に乗っていた経験がある人は、ギアを切り替える際にエンジン音などを聞きながらクラッチ操作して運転しているため、耳からの情報は重要な判断材料になります(過去のブログ)。ならば、ETCが音声を発する機能を活用して逆走を即座にドライバーへ伝える仕組みを導入することは、「あり」かもしれません。

聴覚情報による逆走防止策

聴覚情報の有効性

運転中、ドライバーは視覚情報に多く頼っていますが、聴覚情報も重要な役割を果たしています。特に音声警告は即時性が高く、とっさの判断を促す効果があります。

音による警告はなぜ有効か?

聴覚刺激が視覚刺激よりも注意喚起速度が速いことや反応時間が短いことについては、多くの研究で示されています。

ETC技術を活用した具体的な仕組み

ETC技術の強み

ETCは全国的に普及しており、高速道路での利用率は令和6年11月時点で95.1%に達しています(参考:国土交通省)。この普及率と技術特性を活かすことで、以下のような仕組みが構築可能です:

  1. 双方向通信によるピンポイント警告
    ETCは車両ごとに特定可能な通信技術を備えており、逆走車両のみをピンポイントで検知し警告できます。
  2. 優先度の高い通知
    ETC音声案内はカーナビやラジオよりも優先されて再生されるため、「聞こえなかった」という事態を防ぎます。
  3. リアルタイム検知
    ETC通過時に車両方向を分析し、逆走が検知された場合には即座に「逆走しています!」と音声警告できます。

実現への課題と技術革新

逆走を防止するためにETC技術を活用する、という発想は特に目新しい話ではなく、調べてみると以前からあるようです。しかし、なぜまだ実現していないのでしょうか?その理由としては以下の課題が挙げられようです。

  • ETCの電波干渉問題
    ETCは特定の車両と通信する仕組みですが、反対車線を通行する車両に誤って通知する可能性があり、逆走車両だけをピンポイントで特定するのが難しい という技術的な課題。
  • ETC2.0の普及率
    現行のETC車載器のうち、ETC2.0対応の車載器が十分に普及していない ため、新たな機能を実装しても十分な効果を発揮できるかが課題。
  • GPSの測位精度の問題
    現在のGPSでは、「どの車線を走行しているのか」を正確に判別するのが困難 。例えば、同じ方向に並走する車両と逆走車両を区別する精度が不足しているため、ETCだけでは正確な逆走検知が難しい。

技術革新による解決策

課題の最後にあったGPSについては、最近打ち上げられた準天頂衛星『みちびき』によりGPS測位精度が向上し、この課題解決への期待が高まっています。『みちびき』は日本独自の衛星測位システムで、既存のGPSと組み合わせることで、都市部や山間部などでの測位精度を大幅に向上させます。これにより車線単位で正確な位置情報を取得できるため、ETCシステムとの連携による逆走検知精度向上が見込まれます。(参考:内閣府 宇宙開発戦略推進事務局JAXA

まとめ

誰も故意に逆走しようと思っているわけではありません。多くの場合、運転者がパニック状態や不注意によって誤進入してしまうケースです。それならば、「未然防止」と「迅速通知」の両面からアプローチする仕組みづくりが必要不可欠です。ETC技術とGPS精度向上という日本ならではの強みを活かし、「逆走ゼロ」の社会実現へ向けた取り組みが加速することを期待します。交通安全への新しい一歩として、このシステムが一日でも早く実現されることを願っています。 

類似投稿