【お悩み解消?!】高齢者の免許返納に関する課題とその解決について考えてみました

最近は、展示会や交流会等で初めてお会いする方とお話しさせていただく機会が多くなりました。「どんな活動をされているのですか」と相手の方から聞いていただけるので、そのときは「高齢ドライバーとその家族の免許返納問題について考えています」と説明しています。そうすると多くの方から、「実はうちも・・・」という反応も多く、世の中的には他に優先順位の高い課題はあるけど、これも解決すべき社会問題の一つなんだな、ということを実感します。そんな中から、今日はいくつかの質問や意見等をご紹介させていただこうと思います。この手の問題は「本当の正解」というものがないので、賛否はあると思いますが、一つの意見として参考にしていただければ幸いです。
【よくある質問 その1】
高齢の父の免許返納について相談です。父は現役で仕事をしており、田舎に住んでいるため車が欠かせません。しかし、プライドが高く横暴で、人の話を聞きません。免許返納の話をすると手がつけられなくなります。最近は物忘れも多く、認知症の兆候があります。事故を起こすのではないかと心配です。何度か話し合いましたが議論は平行線です。万が一事故を起こしたら被害者に申し訳ありません。何とかならないでしょうか。
【私の回答 その1】
高齢ドライバーに限らず、運転に関しては高いプライドを持つ人が多く、家族からの指摘を極端に嫌う傾向があります(私のもその一人と自認しています)。「最近物忘れも多いから、そろそろ免許返納したら」と言うのは、ダイナマイトの導火線に火をつけるようなものかもしれません。「免許返納」の一択ではなく、代わりに他の選択肢も提示する方法はいかがでしょうか。運転を継続するか、それとも運転を卒業するか、という二つの選択肢があることを伝えます。運転継続を選んだ場合、それに見合った行動を取るようにしよう、家族も協力するから、という姿勢で臨むのも一案です。高齢ドライバーは体の衰えをカバーする行動を日頃から継続的に実施することを約束し、それを確認することで、高齢ドライバーの気持ちも、家族の心配も一定範囲に収められるかもしれません。実は高齢ドライバーが運転を継続したいのは、家族に迷惑をかけたくないという強い思いやりの気持ちから、という可能性も高いと考えられます。「高齢者=免許返納」とステレオタイプに考えず、高齢ドライバー本人の意見も聞き、それを実現するために家族として何ができるか考える姿勢も、問題解決の一つの手段になるかもしれません。
【よくある質問 その2】
高齢ドライバーによる衝突事故や逆走が頻発しています。高齢ドライバーは一定の年齢になったら潔く免許を返納するべきで、国も法律を改正して免許返納を強制するべきではないでしょうか。そうすれば不幸な事故はなくなると思います。年齢が高くなると体の機能が衰え、判断力や反射神経が鈍くなるのだから、日本の交通事故をなくすには、そんな思い切った対策が必要ではないでしょうか。
【私の回答 その2】
確かに高齢ドライバーの事故は多いですが、警察庁の「令和5年度中の交通事故の発生状況」によると、高齢ドライバーだけが問題ではありません。免許所有者10万人当たりの事故件数は、16~19歳が1025件、20~24歳が589件、85歳以上が519件となっています。その中で70~74歳の事故率上昇は気になりますが、むしろ免許取りたての若い方の事故が多いのが事実です。高齢者の状態は人それぞれで、年齢でひとくくりにできません。国の制度は個々人の状態に合わせて臨機応変に対応することは非現実的な面もありますが、個性を尊重しない対応は民主主義に反する気もします。私たちのようにまだ高齢ドライバーになっていない現役世代からすると「高齢ドライバーは免許返納を」と主張しがちですが、私たちが高齢ドライバーになったとき潔く免許返納できるだろうか、という視点も持ちながら、この問題を考えていく必要があると思います。
いろいろなご質問、ご意見等をいただけることは、関心の高さを物語っている、と感じます。できれば、定期的にシリーズ化することも考えています。少しでも日本が住みよい国にしたい、そんな思いから、これからも活動していきます。ご意見等ございましたら、問い合わせフォームもご活用ください。