高齢ドライバー問題は免許返納で解決しない?!免許返納の新たな課題と本質的な対策

免許を強制的にはく奪するイメージ図

連日、高齢ドライバーによる痛ましい交通事故が発生しています。高齢ドライバーによる事故を防ぐ有力な手段として、免許返納制度が広く知られています。しかし、以前ジェネクスト社の笠原社長から伺ったお話が、今回の報道で改めて思い出されました。それは、「免許を返納したとしても、運転をする人はする。免許返納だけでは高齢ドライバーの問題解決にはならない」というものでした。

事故概要

4月27日に静岡県浜松市浜名区で発生した事故の概要です。報道によると、4か月前に免許証を自主返納したばかりの77歳無職の男性が、軽トラックを無免許で運転し、停車中の車に衝突。さらにバック時に後続車にも衝突するという事故を起こし、無免許運転であったことが発覚しました。警察の調べに対し、男性は容疑を認めており、現在任意で捜査が進められています。

今回の事故を受けての考察

この事故報道を受け、SNS上では様々な意見が飛び交っていました。「免許返納したこと自体を忘れているのでは」といった声や、「運転時に免許証がないとエンジンがかからない仕組みが必要」「免許返納後の自動車の所持を禁止すべき」など、物理的に運転できない状況を作るべきだという意見も多く見られました。

もちろん、物理的な対策も重要な議論ではありますが、私が今回の事故報道から強く感じたのは、前出の笠原社長の言葉の重要さです。もしかすると、この男性はご家族から免許返納を強く勧められ、その場を収めるために返納はしたものの、運転への強い未練や免許返納への納得感がないままの状態だったのではないでしょうか。もしそうであれば、免許返納は形式的なものに過ぎず、根本的な問題解決には至っていません。

高齢ドライバーほど、長年の運転経験から自身の運転能力に自信を持っている傾向があります。その自信は、周囲からの指摘を受け入れにくくする要因にもなりかねません。だからこそ、免許返納を本人以外の周囲が決定するのではなく、本人が主体的に判断できるような情報提供と環境づくりが不可欠だということです。

私たちが提唱する「運転継続計画」もその対策の一つと考えていますが、他にも様々な知恵やアイデアがあると思います。最終的には、高齢ドライバー自身が自分の状況を理解し、納得した上で判断を下せるように周囲がサポートしていくことが、このような事故を防ぐための重要な対策だと考えます。

事故を防ぐために、私たち一人ひとりができること

高齢ドライバーによる事故が報道されるたびに、SNSでは「免許返納」という言葉が飛び交います。その多くは、高齢者の安全を願うポジティブな気持ちの表れでしょう。しかし、高齢者の方々も、決して事故を起こしたくて運転しているわけではありません。車がなければ日常生活を送ることが困難な状況にある方も多いと思います。今回の事故を起こされた方も、詳細は報道されていませんが、きっとご本人やご家族との間で様々な葛藤があったのではないでしょうか。

SNSで見つけた意見の中で、特に共感したのは「免許返納後の生活、例えば買い物や病院への移動手段などを家族としっかり話し合って計画を立てておくことが重要」というものでした。私たちは社会全体の対策を待つだけでなく、個人レベルでもできることはあると思います。そうした小さな一歩こそが、このような事故を防ぐための大切な行動だと感じます。

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