費用対効果は従来手法の4倍?!「コーチング」の発想を積極的に取り入れた「3Dカード」の力

会社員時代を振り返ると、本当にさまざまな経験をさせてもらいました。その中でも「結構しんどかったな」と今でも記憶に残っている仕事の一つが、社内へのシステム導入業務です。それがハードウェアのシステムであれ、ソフトウェアのシステムであれ、新しいものを導入する前には、必ず社内の厳しい審議を通して承認を得る必要がありました。その会議の席で、耳にタコができるほど重視されたのが「費用対効果」です。

会社としては、限られた予算の中から捻出した、いわば「虎の子の資金」を投資するわけですから、それが無駄になっては困ります。「本当にこのシステムを導入する価値があるのか?」「投資した分はいつ、どうやって回収できるのか?」という点を厳しく確認せずにGoサインを出せないというのは、経営側の立場になれば十分に理解できます。

しかし、私自身を含めた当時の事務方の本音としては、「そこは我々の判断を信用して、あっさり承認してくださいよ……」と言いたくなるのが常でした。そうでないと、審議会議の直前になって決まって「ダメだし」が出て資料の修正に追われ、ほとんど終電か徹夜になってしまうからです。泣きながら、文字通り必死で、仕事をしていたあの時代も、今となっては懐かしく、甘酸っぱい思い出です。

幸いにも、私の記憶では「本番の会議でちゃぶ台をひっくり返される」ような悲惨な結末を体験したことはありませんでした。苦労の末に承認が下り、席に戻って上司や周囲から「お疲れ様!」と一言声をかけてもらうだけで、それまでのすべての苦労が嘘のように吹っ飛んだものです。そして、また次の別の案件で、全く同じ苦労を懲りずに繰り返す――。そんな、情熱とエネルギーに満ちた日々を過ごしていました。

雲をつかむような「安全」における、費用対効果

一般的にシステムを導入する場合、その目的の多くは「何らかの稼働を減らすこと」や「業務を効率化し、社員でなければできない付加価値の高い業務へ稼働をシフトすること」にありました。こうした場合、「〇〇円の投資<▢▢万円のコスト削減」といった形で、費用対効果を数字で示すことが比較的容易でした。

しかし、すべての事象において、このように綺麗に費用対効果を弾き出せるかというと、現実はそう甘くはない、と感じています。特に、私が現在向き合っている「安全」や「事故防止」の分野になると、その効果を稼働削減や利益向上といった直接的な数字で示すことは極めて難しくなります。

安全対策の効果を数字にしようとすると、一つの倫理的ジレンマに直面します。万が一、大怪我や死亡事故という最悪の事態になった場合、それを防いだ効果を算出することは「人の命や体に値段をつける」という行為になりかねないからです。また、「人の命には値段がつけられないほど価値がある」という考え方をベースにすると、今度は「安全対策には青天井でいくらでも費用をかけていい」という、変な論理が成り立ってしまいます。

それから、不幸にも事故が起きてしまったときは、その原因を分析することで「これだけの損害が出た」という費用を算出でき、それを対策実施時の効果として計算できます。逆に「事故が起きていない原因」を説明しようとしたとき、「これが、この製品(または施策)を導入したことの恩恵だ!」と言い切ることは不可能です。実際には、他のさまざまな安全活動や、関係者の努力、その時々の周辺環境といった複合的な要因が絡み合い、それらが功を奏して事故が起きていないのが実態だからです。

それにもかかわらず、世の常として、どんな安全施策にも「費用対効果」は求められます。恐らく、 その担当者自身がその効果を信じていたとしても、「その担当者が、さらに自分の上長や経営陣へ説明する際、説得するための武器(材料)」がどうしても必要だからなのだと思います。そのとき求められているのは、長ったらしい複雑な数式や説明ではありません。直感的にその凄さが理解でき、比較的短い文章で、わかりやすく頭の中にインプットできるもの。それさえあれば、聞いた人も次の人に説明がしやすくなります。

しかし、実態がつかめない「安全」の領域で、簡潔にその効果を説明するというのは至難の業です。これこそが、多くの安全対策が現場で「足踏み」してしまう最大のボトルネックになっているのだと思います。ただ、ここに一つの突破口が見つかれば、全く違う世界が見えてくるはずです。会社員時代も、周囲の人たちと知恵を絞り、考える機会を与えてくれたおかげで、いくつもの壁を乗り越えてきました。「やってやれないことはない」。これまでの経験を信じ、私はこの「安全対策の効果をどう証明するか」という難問に正面から対峙することにしました。

発見!ティーチングの「4倍」という驚異のエビデンス

現在、私が展開している「3Dカード(Driver’s Desire Discover Card)」も、まさにこの「本当に効果があるのか?」という費用対効果の課題に直面しています。3Dカードは、ドライバー自身が「自分の理想とする運転像」を、自らの潜在意識から外に引き出すためのツールとして開発しました。実際に体験していただいた多くの方々から、「自分の本当に目指したい運転の理想像が見つかった」「発見できた理想像に納得感がある」という嬉しい声を数多くいただいています。体験レベルでの効果は間違いなくある、と自負しています。

しかし、専門家の先生方からは、非常に愛のある、かつ厳しいアドバイスをいただいています。最近いただいたものとしては、 「事後の調査(アンケートなど)だけでは、正確に効果を検証したとは言えない。そのカードを使う『前』と『後』で、どう意識や行動が変わったのかのデータを取らなければ、客観的なエビデンスにはならないよ」ということでした。

そして、「3Dカードを使って行動変容をしたかどうか、ということが大事なはず。そのデータが取れているのか」、というご指摘もいただきました。確かにその通りです。私が目指しているのは、単に「理想の運転像が見つかって楽しかった」で終わることではありません。理想像を発見し、「こういう運転をしたい!」と心から思い、最終的に「安全運転に向けた行動変容」に繋げることが重要であり、それこそが究極のゴールだからです。

行動変容、つまり実際の運転行動が変わるという明確なエビデンスがあれば、投資(購入費用)を遥かに上回る効果が期待できるため、説明がしやすくなります。逆にそれが示せなければ、購入しようとする動機にはならないという指摘です。確かにその通りで、だからこそ、関係者との間で「安全系は効果を立証しにくいんですよね……」とお互いにため息をつく、という経験を何度も繰り返してきました。

そんなとき、一筋の光が差すようなヒントをいただきました。 「臨床的・実践的なデータがすぐに用意できないのであれば、すでに世の中で認められている机上的・理論的な背景を持ち出して、その効果をロジックで示すことも高い説得力を持つのでは」ということです。

世の中で広く受け入れられている既成の理論を根拠にすれば、そこを疑うことは、その前提となる社会的な定説を全否定することになります。そのため、非常に強い説得力が生まれるのではないか、とのアドバイスです。

そこで改めて、3Dカードのアプローチの根底にあるものを整理してみました。 従来の安全運転指導は、いわゆる「ティーチング(指示・命令・教えること)」がベースでした。「これをしなさい」「ハンドル操作はこうです」「事故を起こすとこれだけの罰則があります」という、外部からの知識の詰め込みです。 一方で、3Dカードがやっていることは、「答えはその人自身の心の中にある」という前提に立ち、問いかけによって本人の気づきを引き出す「コーチング」のアプローチです。

ここで、世の中で認められている事実(エビデンス)があります。 マネジメントや組織開発の人材育成の世界において、非常に有名な研究データです。それによると、特定の条件のもと、研修にコーチングを追加すると生産性向上が大きく伸び、「研修(ティーチング)のみを行った場合の行動定着率や生産性の向上効果は約22%にとどまるのに対し、そこにコーチングを掛け合わせることで、その効果は実に約88%にまで跳ね上がる」ということが説明されています。

つまり、コーチングを取り入れたアプローチは、従来のティーチングベースの手法に比べて「4倍の効果」がある可能性を有することが、理論的・統計的にすでに証明されているのです。

世の中で広く実践され、一定の効果があると信じられている現行の安全運転講習(ティーチング型)。その手法を、3Dカードを用いた「コーチング」要素を加えることで、最大4倍の効果が期待できることになります。これなら、現行の研修費用と比較して、驚くほどの費用対効果があることを、上司や経営陣へ極めて簡潔に、かつ強力に説明できるようになります。

安全という見えない価値に、確かな選択を

費用対効果というモノサシは絶対的なものであり、これまで多くのビジネスシーンで、費用に対してどれだけの明確なリターンがあるかを確認するために用いられてきました。しかしそれは、費用も効果もあらかじめ「見える化」されているからこそできた芸当です。

「安全」という、目に見えない雲をつかむようなものを対象にするとき、絶対的な数値だけで比較しようとすること自体にある程度限界があります。まずはその事実を受け止めた上で、今回のように「すでに世の中に受け入れられている確立された理論(コーチングの4倍効果)」を賢く持ち込むこと。これこそが、膠着した現状を打破し、周囲を納得させるために必要な「知恵」なのだと、今回の検討を通じて改めて感じました。

「なんだか、言葉巧みに自分の言いたいことを正当化しているだけじゃないの?」 「数字のマジックで言いくるめている詐欺師みたいだなぁ」もしかしたら、そんな指摘を受けることもあるかもしれません。

しかし、この3Dカードを購入することで、会社や個人が破産してしまうような、何百万円もの莫大なコストがかかるわけではありません。例えるなら、「安い居酒屋で1回飲食する程度」の、本当にささやかなコストです。

そのわずかな投資で、従来の4倍の確率で「心からの安全運転をしよう」という自発的な行動変容が手に入り、一生モノの安心と、大切な人の命を守る未来がついてくる。そう考えていただければ、この提案に込められた本当の価値と、私どもの真剣な想いを、きっとご理解いただけるのではないかと思っています。

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