「第三期」を見据えて:認知機能検査から見た運転継続と家族の合意形成の重要性
高齢ドライバーとの交流から感じた元気さ
先日、75歳以上の高齢ドライバーが集まる場に参加する機会がありました。参加者の平均年齢は約76歳と高めですが、普段から運転を続けているせいか、皆さんとても活力に満ちており、歩行も会話もスムーズ。お元気な姿を拝見し、こちらもエネルギーをもらえるように感じました。運転を続けられる健康があるからこそ、充実した生活が送れているのかもしれません。
認知機能検査を体験し、運転継続のための課題に触れる
今回の参加で、私たちが提唱する「第三期」に当たる認知機能検査を実際に体験する機会がありました。この検査は、75歳以上のドライバーが運転免許を更新する際に受けるもので、過去3年間に一定の違反歴がないか、違反歴があっても運転技能検査を合格した方が対象となります。合格した方は高齢者講習を受けた後に免許更新の手続きが進められるため、運転継続において重要なステップとなります。
記憶力を試す「手がかり再生」と認知症の兆候
認知機能検査にはさまざまな項目が含まれていますが、その中でも「手がかり再生(イラストの記憶)」という短期記憶を調べる項目が非常に印象的でした。1セット4個のイラストを4セット、計16個を記憶し、その後に何が描かれていたかを回答する内容で、認知症の初期兆候である短期記憶低下を確認する意図があります。
実際に体験してみると、後半に覚えたイラストは比較的思い出しやすいのですが、前半に覚えたものは記憶が薄れ、自由回答でもなかなか思い出せませんでした。「手がかり再生」はこのように記憶の維持力を測るものであり、加えて「時間の見当識」との複合判定が行われます。今回の模擬検査では正確な結果はわかりませんが、今のところは問題ないとの説明がありました。
第三期の課題を見据えて、家族との合意形成(第二期)をクリアする重要性
認知機能検査のような「第三期」のステップを経験すると、運転を続けるためにクリアしなければならないハードルが見えてきます。しかし、これらの検査に進むためには、まず家族との免許返納に関する意見の一致に不可欠である「第二期」をクリアすることが前提です。家族との合意形成によって高齢ドライバーは緊張せず、安心して検査に臨むことができ、免許更新後も運転を継続するための心構えが整います。
運転継続に対する家族の理解と協力を得た上で、第三期の課題にも取り組むことができれば、安心・安全なドライブが実現するでしょう。