案ずるより産むが易し 百聞は一見に如かず 運転継続のための「ゲーム」という選択

昨日のブログでは、将棋が認知機能の維持向上や運転継続に有効である可能性について考察しました。今回は、同様の目的でテレビゲーム(以下「ゲーム」と表記)の可能性について探ってみたいと思います。
先日、東京ビッグサイトで開催された展示会「Care Show Japan」で、私は「健康ゲーム指導士」という民間資格の存在を知りました。その講座が昨日ありました。いただいたパンフレットには「健康ゲーム指導士は、超高齢社会の日本で、ゲームを通じて『健康』と『交流』を応援し、健康寿命や社会参加寿命の延伸をお手伝いします。」と記載されていました。また、「ゲームには、世代を超えて人と人、人と地域、人と社会をつなぐ力があります。高齢者施設や自治体の予防事業等でゲームを活用した笑顔の創造をお手伝いします」ともありました。アプローチは違っても、私たちが目指す方向とまったく同じで、興味深く話を聞くことができました。
私自身のゲームとの関わり合いを振り返ると、大学時代に友人から譲り受けたパソコンでロールプレイングゲーム「信長の野望」に熱中し、朝までプレイすることもあったほどです。私は基本的にゲームは好きな方ですが、社会人になってからはほとんどプレイすることはなくなりました。しかし、子どもたちがゲームをしたいと言い出した際、指先を駆使するゲームよりも体感型ゲームなら良いと考え、家族でWiiを購入し、楽しむようになりました。その後、子どもたちはネット対戦型のゲームに夢中になり、時折マリオカートを一緒にプレイすることもありましたが、再び家族でゲームをする機会は減りました。
近年、eスポーツという言葉を耳にするようになりましたが、通信業界にいた私自身は、リモート対戦時のネットワーク利用する、若者向けの世の中の動きだ、と先入観を持っていました。しかし、今回の高齢者の長寿・健康のためにゲームを活用するという発想は、これまでもテレビ等で知っていましたが、これを機に改めて真剣に考える必要があると感じました。
講習会では、「太鼓をたたくゲーム」「落ちるパズルをそろえて消すゲーム」「レーシングカーを運転するゲーム」などが紹介され、指先だけでなく体を使って実施するゲームもあり、個人的にも興味を持ちました。特に、車の運転系のシミュレーションゲームは、脳への刺激という意味でも非常に有効ではないかと感じました。
ゲームというと、技術やテクニックが重視され、勝ち負けがあるため楽しめないと感じる人もいるかもしれません。しかし、他人と競い合いたい人にはゲームが向いていますし、他人と戦いたくない人は自分自身との闘いとして取り組むこともできます。昨日はここまでだったが、今日はさらにここまできた、明日はあそこまでいきたい、そんな自分自身の成長を感じることができることも、ゲームの醍醐味だと思います。
高齢者の多くは、ゲームというと将棋、囲碁、麻雀などを想定し、いわゆる「テレビゲーム」を経験したことがある人は少ないようです。しかし、家族内の会話で、ゲームをしたことがあるという話になると、孫などとの距離が急速に近くなり、コミュニケーションが増えるという紹介もありました。地域の高齢者が近所の子供たちと交流し、相互に刺激を受ける効果もあり、私自身がややゲームに否定的だった姿勢を改めるべきだと反省しました。
高齢ドライバーが運転を継続するためには、認知機能の維持が不可欠です。その手段として、ゲームを生活に取り入れることも一案です。実際、ゲームは視覚や聴覚から得られる情報をもとに、コントローラーを巧みに操作する必要があり、脳への刺激が高く、運転免許返納後の高齢者の認知症予防にもつながるとされています。 また、アクションゲームは視覚的な情報を脳ですぐに処理して指を動かすことが必要となるため、認知機能の維持・向上につながると考えられています。 (セゾンのくらし大研究)
しかし、注意点もあります。テレビゲームに長時間または長期間没頭することで、生理的・心理的な面(特に「脳の機能」)にマイナスの影響を与える可能性が指摘されています。 また、暴力的なテレビゲームで長時間遊ぶことが、成人の表情認知に関連する脳活動に影響を与える一方で、攻撃性に与える影響があることが明らかとなっています。(ゲームソフトが人間に与える影響に関する調査報告書)
さらに、テレビの視聴時間が長い高齢者ほど、アルツハイマー型認知症になるリスクが高くなることが分かっています。 これらの点を踏まえ、適度な時間で、内容を選びながらゲームを楽しむことが重要です。(アクサ生命)
何事も「やりすぎ」は体にも良くないと思いますが、デメリットにばかり目を向けるのではなく、メリットに注目して、その恩恵に預かる、という発想も必要だと思います。
私もさっそく自身が実施する体感ゲームの選定に入り、生活の中に習慣化して、自分自身の運転卒業予定である80歳直前まで運転を継続できるように頑張りたいと思います。