第2部:高齢ドライバーの内なる声を引き出す方法と共同解決の提案
外的アプローチと内的アプローチの違い
第1部でも触れたように、外的アプローチは情報や第三者の意見を用いて説得する方法であり、内的アプローチは本人が自分の価値観に基づいて行動を選択するプロセスです。
内的アプローチは特に重要で、高齢ドライバーが自分自身の考えや目標に気づき、それに基づいて行動を決定することで、納得感のある結果を得ることができます。
内的アプローチの重要性
外的アプローチで説得を試みるだけでは、不十分な場合があります。高齢ドライバーが本当に納得して行動に移るには、自分自身の内なる声に気づき、それを受け入れるプロセスが必要です。
これを実現するためには、以下のようなポイントを話し合いの中で聞き出すことが重要です。
- 運転に関する目標 例:“これから何歳まで運転を続けたいと思っている?”
- 免許返納のタイミング 例:“いつかは免許を返納しないといけないと思うけれど、それはどんなタイミングだと思う?”
- 現状と目標のギャップ 例:“今の運転技術や体調は、目標とする運転をする上でどれくらい影響があると思う?”
- ギャップを埋めるための具体策 例:“もしギャップがあるとしたら、それを埋めるためにはどんなことができるだろう?”
第三者の役割
家族だけでこれらの質問を聞き出すのは難しい場合があります。その理由として、感情的な対立やお互いの立場の固定化が挙げられます。このような場合、第三者が関与することで、以下のようなメリットが生まれます。
- 客観的な視点で質問できる:家族が聞きづらいことを代わりに尋ねる。
- 家族の新たな発見を促す:高齢ドライバーが第三者に話す内容を聞くことで、家族も新たな気づきを得られる。
- 対話の場を円滑に進める:感情的な対立を防ぎながら話し合いを進める。
共同解決の提案
高齢ドライバーの免許返納問題は、家族だけ、あるいは第三者だけで解決するのは難しい場合がほとんどです。そのため、家族と第三者が共同で取り組むスタンスが重要です。
運転継続計画(DCP)は、そのような共同解決を実現するための有効な手段です。高齢ドライバーの内なる声を引き出し、それに基づいて計画を立てることで、本人が納得しやすい形での解決を目指します。
結論
高齢ドライバーの免許返納問題は、家族と本人にとって大きな試練ですが、運転継続計画のような方法を取り入れることで、対話を進める糸口を見つけることができます。外的アプローチだけでなく、内的アプローチを重視し、家族と第三者が協力することで、より納得感のある結論にたどり着けるでしょう。