高齢ドライバーによる事故を繰り返さない! 試行錯誤の末にたどり着いた事業の方向性

高齢ドライバーの運転による不幸な事故が頻発している、そんな社会問題を解決したい。こんな思いから、私たちは事業を開始しました。そこで、私たちは高齢ドライバー個人に直接働きかけるB2C(消費者向け)モデルが最適、と考えて活動を開始しました。加齢に伴っての身体機能の低下は誰にも避けられませんが、それに抗うようにアクティブに活動する計画を立て、それを実行することで身体能力の維持・向上が図られ、安全運転にもつながる、ということは理論的にも説明がつくはずです。しかし、我々の思いに反し、市場からの反応は芳しいものではありませんでした。

そこで、私たちは、その原因を分析してみました。すると、多くの高齢ドライバーにとって、運転能力の低下は「まだ自分には関係ない」という楽観的な認識がある、等の背景が見えてきました。実際に起きている事故は「他人の出来事」であり、自身の身体機能の衰えを客観的に認識し、自発的にお金を払ってまで対策を講じる必要性を感じていない、という現実が見えてきたのです。このままでは高齢ドライバーによる不幸な事故なくす、という社会課題が解決できない。私たちはこの壁にぶち当たりました。

B2B2Cモデルの可能性と限界

B2Cの壁に直面した私たちはちょっと視点を変えて、この社会問題を解決すると「誰が恩恵を受けるのか」という視点から考えてみることにしました。そこから見えてきたのが、紆余曲折の末、警察や行政を巻き込んだB2B2Cモデルではないか、ということでした。警察や行政の観点は、高齢ドライバー個人の楽観的な認識とは異なり、高齢ドライバーの問題を「社会全体の課題」として捉え、解決策を強く求めているのではないか、と考えました。

この「仮説」が、私たちがB2B2Cモデルに転換を図る一つのきっかけとなりました。個人が自発的に課題として意識し、行動するB2Cモデルとは異なり、警察や自治体を直接的な顧客とし、彼らが抱える高齢ドライバー問題の解決を支援するB2B2Cモデルの可能性に大きな期待を感じました。しかし、これにも限界があります。例え警察や自治体がサービスを導入したとしても、その先にいる高齢ドライバー本人が動かなければ、最終的な効果は限定的になります。つまり、警察や自治体が「導入」してくれたとしても、その後の効果に直結しないリスクもはらんでいるのです。

B2B2Cモデルへの確信と覚悟

私たちが考えたB2B2Cモデルは、警察や自治体と連携しながら、そのエリアにいる高齢ドライバー個人にサービスを届けるというものです。B2Cの課題であった「費用」は警察や自治体が負担することとし、B2Cで課題になりがちな、私たちに関する「信頼性」確認については、警察や自治体が実施してくれます。このとき、単に警察や自治体にサービスを導入してもらうだけでなく、その先の高齢ドライバー本人が「自分ごと」として捉え、能動的に利用してくれるよう、深くコミットしてもらう必要があります。この点は、過去のブログの内容をベースに、警察や自治体の皆様と引き続き議論等を重ねていきたい、と考えています。

失敗の先にある私たちの未来

ビジネスモデルに完璧な答えはありません。私たちは、B2Cで苦戦し、その経験があったからこそ、B2B2Cモデルの可能性に辿り着くことができました。これは、決して平坦な道ではなく、試行錯誤の末にようやく見えてきた道筋です。

私たちの事業は、警察や自治体が抱える課題認識と、高齢ドライバー個人の行動意識の両方を高めなければいけない、という、より困難で、本質的な挑戦をしています。そしてそれは、池袋で発生した母子死亡事故を受けて、警察庁の当時のトップの方が発した「二度とこのような事故を繰り返さない」という宣言を、現場レベルでの具体的な行動に繋げることができる、と考えています。私たちはこれからも困難な道のりではありますが、事業内容が単なるビジネスではなく、社会全体の安全と活力を生み出す一助となると確信し、行動してまいります。

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