高齢ドライバーの事故問題解決の秘訣はマニュアル車?だから選んだパドルシフト搭載車!

私の今の愛車が購入から丸13年を迎え、車検のタイミングが来たのを機に、最近になって買い替えをする決意をしました。新しい車を選ぶ上で考えたのは、最新の衝突軽減ブレーキをはじめとする安全系の装備が揃っていること。これは最低限の条件でした。しかし、私がこれまでブログで書き続けてきた「高齢ドライバー問題」の解消にマニュアル車が有効ではないか、というアドバイスを何人もの方からいただき、その視点も盛り込みたい。そこで、家族も運転できるオートマ車の利便性を保ちつつ、マニュアル車のような「自ら車を操っている感」を得られる車種を探しました。その結果たどり着いたのが、ハンドルについたパドルシフトを使ってギアをシフトチェンジしながらでも運転ができる機能を搭載した自動車の購入でした。納車時期の関係でまだ新しい”相棒”とは対面できていませんが、この新しい自動車が高齢ドライバーの事故防止という社会的な課題の解消に、何らかのヒントを与えてくれるのではないかという期待を胸に、納車の日を心待ちにしています。

なぜ今、マニュアル車のような操作ができる車が存在するのか?

現在、国内の自動車市場におけるマニュアル車のシェアはわずか1%程度にまで低下しています。にもかかわらず、なぜ自動車メーカーはパドルシフトのような、マニュアル操作を思わせるような機能を一部の自動車に搭載しているのでしょうか。それには、各メーカーの狙いがあるようです。

トヨタやホンダ、マツダをはじめとする自動車メーカーがパドルシフトを搭載する自動車を提供する主な目的は「運転の楽しさの向上(スポーティさ)」とのことです。オートマ車やCVT(Continuously Variable Transmission(無段変速機))車は、運転が楽な反面、自分でギアを選んで走るというマニュアル車特有の感覚がありません。そこで、ハンドルを握ったまま指先で瞬時にシフトチェンジできるパドルシフトを導入することで、ドライバーに「車を操っている」感覚を提供し、スポーツ走行の楽しさをオートマ車でも実現しようとした、とのことです。

なお、過去のブログで、類似した概念を持つ他の技術を紹介していますので、それにも触れておきます。例えば、トヨタのiMT(Intelligent Manual Transmission)は、オートマ車をマニュアル化するのではなく、マニュアル車のクラッチ操作をアシストすることで運転をスムーズにする技術のことです。さらに、マツダのSeDV(Self-empowerment Driving Vehicle)は、足ではなく手でアクセルやブレーキを操作する、福祉の観点から運転をサポートする車両です。これらは目的こそ違えど、いずれも「運転の仕方」を根本から見つめ直し、新たな価値を生み出そうというメーカーの試みであり、パドルシフトを搭載する自動車の導入とも無関係ではないようです。

本来の目的外使用?高齢ドライバーの事故防止への可能性

パドルシフトの本来の目的は運転の楽しさの向上ですが、その機能は、奇しくも高齢ドライバーのアクセルとブレーキの踏み間違えによる事故防止に有効である可能性があります。足の衰えは比較的早く訪れ、ペダルの踏み間違いによる事故が多い現状に対し、パドルシフトは衰えが比較的遅い手元で操作を行います。また、オートマ車のように半自動的に自動車が前進するのではなく、ドライバーが自らの意識で操作しているという感覚を明確に得られるため、「意に反して自動車が動く」というパニック状態を避けることにつながるのではないかと感じています。

しかし、パドルシフトが万能な高齢ドライバー問題の解決策とは限りません。慣れない操作が逆に混乱を招くリスクや、全ての運転状況で有効とは限らないという懸念も残ります。これらを解決するには、パドルシフトの操作に特化した教習プログラムや、既存の先進安全技術(衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置)との連携が必要となるでしょう。だからパドルシフトを搭載したからといって、全ての事故がゼロになるわけではありません。しかし、アクセルとブレーキを踏み間違えるケースが多く、その一つの解決のアプローチとして、その可能性を追求する価値は十分にあると考えています。

私自身がこれから実体験を通じて、社会に一石を投じる

これまでのブログでは、何度かデータや統計に基づいて高齢ドライバーの問題を考察してきましたが、今回の車の買い替えは、その考察を「私自身の実体験」として検証してみようという思いから始まりました。9月中旬の納車なので、まだ具体的な走行体験を語ることはできませんが、今後このブログでその検証結果を掲載していく予定です。

もし、オートマ車の利便性とマニュアル車の積極的な操作感を併せ持つパドルシフトが、高齢者の事故を減らすことができれば、それは社会にとって非常に大きな成果となります。

世の中には、当初の目的とは違う使い方で大ヒットした商品(例えば、強力な接着剤を作りたかったものの、偶然できた弱い接着剤で作られた付箋紙など)が多数存在します。今回のパドルシフトを搭載した自動車も、そんな意外な問題解決の一例になるかもしれません。多くの人の小さな努力やアイデアが、大きな社会問題の解決につながっていく。それにより明るい社会が作れる可能性がある、そう考えると、今から楽しみです。

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