これはやられた!高齢ドライバーのアクセル、ブレーキの踏み間違い対策—マニュアル車が難しいならこれしかない?!

オートモーティブワールド2025に参加し、「高齢化社会におけるモビリティの価値創造」というセッションを聴講しました。その中で、高齢ドライバーの課題に関する新たな視点を得ることができました。この話を聞いて、ふと思い出したのは40年以上前の中学時代の塾の先生の車のことです。

その先生は足が不自由で、右手はハンドルの付け根から取り付けられたバイク用のアクセルとブレーキを操作して車を運転されていました。左手はハンドルに取り付けられたノブのようなものを操作し、器用に運転されていたことを思い出します。そのとき、「手元での操作」という発想の可能性を漠然と感じていましたが、今回のセッションでその記憶が鮮明によみがえりました。

以前、私自身もブログで「高齢ドライバーの事故対策としてマニュアル車に乗るべきではないか」と提案したことがありました(参考: ブログ1, ブログ2, ブログ3)。しかし、マニュアル車の普及台数が現在は少なく、整備環境も限られている現状では、現実的ではないと結論付けざるを得ませんでした。そんな中、今回のセッションでマツダの「足は先に弱るが、手はまだ先」という発想に光明を見いだしました。「これだ!」と直感的に感じたのです。

高齢ドライバーによる不幸な事故を防ぐ対策として、アクセルとブレーキの踏み間違いを防ぎ、運転をより安全にする技術が必要です。これまでも足が不自由な人向けに設計された補助装置などが存在し、多くの人が安全に運転を続けられる環境が提供されてきましたが、このような技術は高齢ドライバーへの適用にも可能性を秘めています。その解決策として、マツダの手元操作に特化した技術「SeDV(Self-empowerment Driving Vehicle)」が大きな可能性を秘めているのではないでしょうか。このシステムにより、高齢ドライバーが足の衰えを気にせず、安全に運転を続けられる未来が現実のものとなるかもしれません。

これらの主張を裏付ける情報

  1. 手は足よりも衰えが少ないというデータ
    加齢に伴う身体の衰えは、特に下肢の筋力低下から始まりやすいことが明らかになっています。一方で、上肢、特に手や腕の機能は比較的長く維持される傾向があります。例えば、ある研究では、下肢の筋力は30歳を過ぎると10年毎に約10%減少するのに対し、上肢の筋力は同期間で約5%の減少にとどまるとされています。
    出典: rehabilitation-e.com
  2. マツダのSeDV(ハンドコントロールシステム)の紹介
    マツダが開発した「SeDV(Self-empowerment Driving Vehicle)」は、アクセルとブレーキの操作を手元で行える技術です。このシステムは、足の衰えをカバーしつつ、高齢者が安全に運転を続けられるよう設計されています。さらに、健常者が運転する際にも足元のペダルを使えるよう、手動操作とペダル操作を簡単に切り替え可能です。これにより、家族や友人と運転を交代しながら車を共有することもできます。
    出典: マツダのSeDV紹介ページ
  3. 手は足よりも衰えが少ないという経験的な現象
    高齢者が年齢を重ねても箸やペンを使う能力が維持される一方で、長時間の歩行や階段の上り下りが困難になる現象は、多くの人が実感している事実です。また、ピアノや編み物といった手先の細かい動作を続ける高齢者が多い一方で、ランニングやスポーツのような脚に負担がかかる活動を避ける傾向があることも知られています。これらの実例は、手の機能が脚よりも加齢による影響を受けにくいことを明確に示しています。この特性を運転支援に応用することで、高齢ドライバーの安全性を向上させる新たな可能性が期待できます。

まとめ

高齢ドライバーによる事故対策として、単に免許返納を促すだけでは十分ではありません。足腰の衰えという身体的な課題に対応し、安全な運転を可能にする手元操作という新たな選択肢を提供する技術が鍵となりそうです。

マツダのSeDVをはじめとする技術は、「運転の楽しさ」と「安全性」を両立させる可能性を秘めています。また、健常者との共有が可能な仕組みを取り入れることで、より多くの人々が安心して車を活用できる未来が実現するでしょう。高齢ドライバーが安全に、そして事故のリスクを減らしながら運転を楽しめる未来の実現に向けて、技術の進化に期待したいものです。

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