高齢ドライバー問題の解決をより根源的に考え、新たなアプローチで再出発!

現在は高齢ドライバーの免許更新、という話になると、高齢ドライバー本人とその家族の間で意見が対立する、という構図が考えられます。この問題に決着が付かずに放置することは、高齢ドライバーによる事故の増加という、より深刻な問題につながると考えています。

これまで、この対立構造の解消を目指して事業に取り組んできましたが、正直なところ、その道のりは決して平坦ではありませんでした。

事業の相談に乗っていただいている中小企業診断士の先生からは、事業として成立させるためには、「家族の意向を受けて高齢ドライバーに免許返納を促す」という方向性がシンプルで理解しやすい、と度々アドバイスをいただいています。実際、このアプローチで事業として成功されている方も多数いらっしゃいます。

しかし、私の心の中にあるのは、免許を返納させることではなく、むしろその逆。免許を返納して高齢者が家に閉じこもりがちになり、静かに余生を過ごすのではなく、高齢者がいつまでも元気でいきいきと暮らせる社会こそ、私が本当に実現したい姿なのです。

免許返納、という行為は、この理想とは真逆の概念だと感じています。あるデータによれば、免許を返納することで認知症になる確率が8倍にもなるという事実を知った時、私の考えは間違っていないと強く確信しました。

高齢者が元気であることは、社会全体にとっても多くのメリットをもたらします。生産労働人口の維持、社会的孤立高齢者や医療費の抑制、自動車市場の活性化など、その恩恵は決して小さくありません。逆に、安易に高齢ドライバーから免許を取り上げてしまうことは、新たな社会問題を引き起こす可能性すらあります。高齢ドライバーが安全に運転を続けながら、これらの問題を未然に防ぐことこそ、私たちが目指すべき方向ではないでしょうか。

このような状況においては、矛盾を抱えたままより高い次元で解決する「パラコンシステント」なアプローチこそ、社会問題には求められているのだと感じています。もし簡単に解決できるのであれば、既に誰かが取り組んでいるはずです。そうではないということは、この問題の根深さを物語っていると思います。

この問題について、これまで多くの方と議論してきました。そしてこの問題の存在を否定する人にはこれまで出会ったことがありません。つまり、問題は確かに存在する。しかし、そのアプローチには再考の余地があるのではないか。そう考え、ゴールデンウィーク期間中に様々な書籍を読み解き、深く思索しました。

その結果、自分自身で確信したのは「私は高齢ドライバーを応援する側で事業を展開したい」という強い思いです。そして、現状の事業には、高齢ドライバーの心に響くようなアプローチが不足しているという課題も見えてきました。

現在の事業は、私よりも年齢の高い高齢ドライバーの方々を主な対象としていますが、その根本には、私たち「高齢ドライバー予備軍」が将来、免許返納を迫られた際にどう感じるのか、しっかり対応できるのか、という問いがあります。果たして、私たちは素直に免許を手放せるのでしょうか?

改めて高齢ドライバーの立場に立って考えたときに、彼らが本当に求めているのは、「運転寿命を延ばしたい」「もっと運転を続けたい」という根源的な願いなのでは?と考えるようになりました。

そこで、事業の方向性を少し修正し、これまでの「免許返納問題の解消」というニーズに焦点を当てていた状態から、「運転寿命を延ばしたい」というニーズへと視点を移していこうと考えています。後者の方が、より根源的でシンプルであり、多くの方に共感してもらいやすいのではないかと感じています。

これまでも事業の方向性を何度か見直してきましたが、その都度、変化に対応していくのは決して楽ではありませんでした。しかし、「仮説は否定されるためにある」という考え方や、「柔軟な見直しが事業を存続させるためには不可欠」というアドバイスを胸に、今回の戦略見直しを機に、改めて社会にその価値を問い直したいと考えています。

私の事業内容について説明すると、多くの方から「あまり聞いたことがない」「ブルーオーシャンですね」という反応をいただきます。しかし、ブルーオーシャンは美しい反面、微生物も住めないほど特異な環境である可能性も否定できません。本当にそこに市場があるのかどうか、慎重に見極める必要があります。

一方で、高齢ドライバーによる事故が発生しており、免許返納がなかなか進んでいないという事実は、データとしても裏付けられています。だからこそ、しっかりと足元を固め、潜在的なニーズを丁寧に掘り起こし、社会が抱えるこの問題を解決できるよう、これからも尽力していきたいと考えています。これからもご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

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