【展示会レポート】3Dカードが示す「ドライバーの意識」と事故防止への新たなアプローチ

2026年2月4日から6日までの3日間、東京ビッグサイトにおいて実施された「第101回東京インターナショナルギフト・ショー春2026」に参加させていただきました。
これまでも事業のヒントを得るために数多くの展示会に足を運んできましたが、今回は立場が180度逆になりました。情報を「得る」側から、自分たちの想いを「発信する」側へ。私たちの地元板橋区ブースの一画をお借りしての出展は、私たちにとって未知の経験であり、まさに今後「攻め」の姿勢への転換点となりました。
多くの方々のご支援をいただきながら準備を進め、駆け抜けた3日間。そのハイライトの一つは、最終日に板橋区の坂本区長が私たちのブースを訪れてくださったことでした。当初、得体の知れない「3Dカード」を前に、「一体何が始まるんだ?」という戸惑いの表情を見せられたように感じた区長でしたが、実際にカードを手に取り、体験するにつれてその表情は徐々に変わっていきました。最後には「これは面白いね。区長室で職員と一緒にやってみるよ」という力強い、最大の賛辞をいただくことができました。
それはまさに、行政のトップが高齢ドライバーによる自動車事故の問題を解決するツールとしての可能性を認めてくださった、と感じた瞬間であり、私たちの活動が単なる個人の啓発に留まらず、社会的にも価値があるものを提供しているんだ、と感じた出来事でした。
体験の壁と「対話」から見えた3Dカードの真価
展示会での主な対応は、3Dカードの体験を通じて来場者の皆さまと対話し、その反応や商品へのフィードバックを直接いただくものでした。3Dカードを体験いただいた多くの方からいただく多くの意見は「体験する前と後で、受ける印象が劇的に変わる」ということ。一見するとシンプルなカードを手に取り、思考を巡らせるプロセスを経ることで、自分自身の「運転の目標や目的」を再発見するきっかけになった、というものです。
しかし、運営面では大きな課題も浮き彫りになりました。基本的にワンオペレーションで対応していたため、体験者がいるときほど、興味を持ってその後方で足を止めて見学くださる方が多く見られ、その方々への対応が疎かになってしまうというシーンも何度もありました。
また、いわゆる「エレベータートーク(30秒での簡潔な説明)」の難しさも痛感しました。3Dカードは、世の中に知られたものに例えて簡単に説明する、ということが難しく、その特徴や従来との違いを短い言葉で表現し、一瞬でご理解していただくために、今後更なる工夫が必要であるとの気付きは、今後の大きな反省点となりました。
それでも、3Dカードを体験された方々からは驚くほど前向きなお言葉をいただけました。
「板橋区のブースで、ドライバーの内面にアプローチする商品に出会えるとは思わなかった」
「実際にやってみて、自分自身の運転に対する意識や気持ちに気づかされた」
「いろいろと課題はあるだろうが、間違いなく磨くと光る魅力がある」
こうした声は、私たちが進んでいる道が決して間違いではないことを確信させてくれました。
データが語るドライバーの本音
今回の展示会では、一つの試みも行いました。40枚ある3Dカードすべてをあらかじめ分析し、その中から「自分が運転する目的のナンバーワンカード」を1枚選んだ人の特徴や注意点、アドナイス等を確認できるQRコード付きカードをプレゼントしたのです。
この「自分の診断結果」を確認できる仕組みは、従来のノベルティとは一味違う価値として、非常に高い反応をいただきました。そして、この「どのカードが選ばれたか」というデータを集計することが、今後の日本の自動車事故防止策を考える上での極めて重要な鍵となると考えました。
ちなみに、今回選ばれたカードの人気ランキング(ベスト5)の結果は以下の通りです(第2位は同数が多数あったため、複数存在します)。
順位 ドライバーが選んだ「運転の目的・目標」
第1位 安全を何よりも優先して家族や友人を車に乗せたい
第2位 生活の質を高く維持するために運転を続けたい
第2位 目標とする年齢まで安全運転を続けたい
第2位 運転できなくなった後も自由な移動手段を確保したい
第2位 家族や友人から感謝されるような運転を続けたい
第2位 思いやりを持ち他車や歩行者に配慮した運転を続けたい
さらに、カードには4つの属性(色分け)があり、それらに分類して分析すると、最も選ばれたのは「ドライバー自身のソフト的な希望」、次いで「家族や友人に関する希望」でした。そして、車の性能や支援ツール等の「ハード的な希望」や「社会とのつながりに関する希望」がそれに続く形となりました。
この結果は、現在の交通安全教育や行政の施策に対する「新たな提言」が含まれているように感じます。注目すべきは、「誰かのために安全運転をしたい」という動機が第1位であったことです。これまでは多くのドライバーが「法規を守る」ことこそが安全運転につながる、という考え方が前提にあったように思います。しかし、それ以上に、「大切な人のため」「自分の人生の質を上げるため」に安全運転をする、という考え方にドライバー自身が気付くようにする方が、実は理にかなっている、ということなのかもしれません。
もし、今後サンプル数が増え、日本中の高齢ドライバーの「本音」が十分に可視化されたらどうなるでしょうか。個々人の目標や希望に寄り添わない、従来の一律的な講習や、罰則中心の安全運転対策よりも、「あなたが大切にしたい運転の目標のために、今どんな対応が必要か」を問いかけるアプローチこそが、真の事故防止に繋がるのではないでしょうか。
「知らない」を「助かった」に変える責任
展示会を通じて、印象に残った言葉。それは「こんなものが世の中にあるなんて、全然知らなかった」という一言でした。正直に申し上げて、私はこれまでホームページやSNS、あるいは直接の対面活動を通じて、十分に周知できているつもりでいました。だから、世の中の反応が薄いのは、ニーズがないからなのかもしれない、と考えていました。
しかし、それは大きな勘違いでした。ニーズがないのではなく、存在が知られていないから、市場の審判を仰ぐ土俵に立てていなかったのだと。この現実に直面し、私たちのこれまでのやり方を一から見直すべき、と考え直すことにしました。認知度が低い、ということは、私たちの努力が足りないということであり、その結果として「もし存在を知っていれば、不幸な事故が一件でも防げたかもしれない」のです。
「認知度を上げることは、事業としての社会的責任である」。私たちは今、強くそう感じています。私たちが発信を怠ったために、本来届くべき人に情報が届かない。そんな事態は、何としても避けなければなりません。
運転の目標や目的というマインド面から不幸な自動車事故を未然に防ぐ。この新たなアプローチで私たちが役割を果たすために、これからも歩みを止めることなく、一人でも多くのドライバーの「心」に届く活動を続けてまいります。日本の道路をより安全な場所に変えていくために。
