ドライバーの”内なる声”を引き出す「3Dカード」の市場の反応と安全運転実現の可能性

運転の「内面的な目的」に焦点を当てる
高齢ドライバーの安全運転を支援する対策は多岐にわたりますが、その中で私たちは「運転そのものの内面的な目的や目標」に焦点を当てたアプローチが必要だと考えています。従来の運転技術の指導や規制だけではなく、ドライバー一人ひとりが「なぜ安全に運転し続けたいのか」という根本的な動機を明確にすることが、持続的な安全運転につながると思っているからです。
この考えに基づき、私たちは「3Dカード(Driver’s Desire Discover Card)」を開発しました。このカードを使用することで、個々の高齢ドライバーが持つ運転そのものの目的や目標を明らかにし、それらの達成を目指すことで安全運転をマインド面から継続的に支援することを目指しています。
地域の声を取り入れた協働開発
3Dカードの開発にあたっては、東京都大田区のシルバー人材センターのみなさまから多大なるご支援をいただきました。実際にカードを使用していただいた際の率直な印象や改善点などに関するご指摘をいただき、それらを反映する形で「第一版」として完成させることができました。今も現役でハンドルを握っている高齢ドライバーのみなさまの生の声が、本カードの有効性を高める大きな力となりました。
そして、この3Dカードについてこれまでに多くの方にご使用いただいた後に、アンケートにご協力をいただきました。本ブログでは、その結果についてご紹介し、3Dカードが持つ可能性を探りたいと思います。
アンケートに込めた検証の意図
3Dカードのアンケートでは、その効果と市場性を測るため、主に以下の3つの質問を設定しました。
Q1:3Dカードを使用して運転の目的や目標の発見ができましたか
この設問は、3Dカードが期待通りに「運転の目的や目標を発見する」という役割を果たせているのかを確認するためのものです。もしここで高い割合で「発見できなかった」という結果が出た場合、高齢ドライバーの深層心理に働きかけ、潜在的な意識を言語化するという期待した機能が働いておらず、根本的な誤りがあることになります。
Q2:3Dカードを使用してその結果に納得感がありましたか
高齢ドライバーは、自身の運転に自信を持っている人が多く、家族であっても、他人から運転に関する目的や目標を押し付けられることを極端に嫌う傾向があると言われています。そこで、この設問では自分自身の「内なる声」と対話しながら目的・目標を見つける行為が、高齢ドライバーの特性を捉え、より高い納得感をもたらすことができるのか、ということを検証しました。
Q3:3Dカードをご家族やご友人にも使用を勧めたいと思いますか
3Dカードを使ってみて、どう評価するかを直接聞くのはストレートすぎ、回答にバイアスがかかる可能性があります。そこで、家族や友人に勧めたいと思うかという聞き方で、ユーザーの純粋な評価(エンゲージメント)を確認しようと考えました。これは、最近流行りの会社へのエンゲージメントを確認する手法を参考にしています。
アンケート結果とユーザーの具体的な声
アンケートを実施した結果(2025年10月現在)は以下の通りです。
主要3設問の結果概要
| 設問 | あった | なかった | どちらでもない | その他 |
| Q1: 目的の発見 | 68% | 9% | 21% | 2% |
| Q2: 納得感有無 | 68% | 14% | 18% | 0% |
| Q3: 勧めたいか | 48% | 11% | 39% | 2% |
⇒Q1:目的の発見とQ2:納得感有無で、ともに約7割の方が肯定的な回答をしており、このカードが「内なる声」を引き出し、その結果に納得感をもたらすという当初の仮説が間違っていない、ということを裏付ける結果となりました。
ユーザーから寄せられた具体的な声
アンケート以外にも、3Dカードの使用を通じて、様々かつ建設的なコメント等をいただくことができました。以下にその一部をご紹介します。
- 発見と振り返りに関する声
- 「日頃の運転で常に事故を起こさないように気を付けていたが、今回3Dカードを使用してみて、家族のために安全運転をするというカードが残り、この結果は意外で、いい発見だった。」(70代、男性)
- 「3Dカードを使って自分の内面に問いかけができ、いい意味で自身の運転について振り返ることができた。」(70代、女性)
- 「運転を移動の手段とするのではなく、運転することを目的とし、3Dカードを使ってその目標を考える、というアプローチは、これまでの運転で考えたことがなかった発想だったので、とても斬新に感じた。」(70代、男性)
- 「3Dカードを使って自身が運転に求める目的・目標や価値感が何かわかった。カードで考え方を整理することができ、役立った。」(70代、男性)
- 「日頃の運転で常に事故を起こさないように気を付けていたが、今回3Dカードを使用してみて、家族のために安全運転をするというカードが残り、この結果は意外で、いい発見だった。」(70代、男性)
- 運用方法・改善に関する声
- 「3Dカードを使用して最終的に残したカードから客観的な評価や診断(フィードバック)等をして欲しい。」(70代、男性)
- 「3Dカードを使用する度に手元に残るカードが異なり、自身の軸(運転に求める目的、価値感)が揺れ動いていることがわかった。数をこなすことでその軸が収れんできると感じた。」(70代、男性)
- 「3Dカードは色分けされているが、高齢ドライバーの中には色の識別が難しい人もいるので、何らかの工夫をすべき。また、重要な情報を文章の前に持ってくる、イラスト等を使ってわかりやすくする、スマホアプリ化するなどの検討もお願いしたい。」(70代、男性)
- 「3Dカードを使って、自分の運転の目的・目標を文字にすることは難しいと感じた。他の人がどんなカードを選んだのか、その結果も気になった。」(80代、男性)
- 「3Dカードを使用して最終的に残したカードから客観的な評価や診断(フィードバック)等をして欲しい。」(70代、男性)
今後の展望と社会的貢献への決意
7割という結果に対する率直な見解
いつもお世話になっている中小企業診断士の先生にこの結果を見せたときの反応は「7割か・・・なかなか微妙な数値だな」というものでした。この手の数値を前面に出せるのは8割~9割は欲しいところ、というのが真意のようです。しかし、普段テレビのコマーシャル等で謳われる「満足度90%以上」という宣伝文句に胡散臭さを感じ、フィルターを通した数値ではないか?と考える身としては、何の小細工もない生で正直な数値で、こんなものではないか、と思っています。
また、どちらでもない、という回答が多かったことも数値が伸びなかった原因の一つと考えています。日本人特有の「中心化傾向※」の表れ、とも考えられますが、アンケートにご協力いただいたみなさんとの信頼関係がまだ構築できていない段階での調査であれば、ある程度仕方のないことなのかな、と考えています。
(※中心化傾向:評価点数や評価ランクが中心に集中し、評価項目に高い・低いがあるにもかかわらず、その差がはっきりしないこと)
もちろん、私たちはこの数値で満足するつもりは一切ありません。今回いただいた貴重なご意見を参考に、様々な改良や工夫を今後も加え、少しでも数値を向上させるように努力し続けます。
高齢者以外への展開の可能性
高齢ドライバー用に開発した3Dカードではありますが、これまでのアンケートや使用後の意見交換から、意外と40代以下の方にも反応が良いことがわかりました。高齢ドライバーと同様に事故が多い若年ドライバーへの展開も並行して考えていきたいと考えています。安全運転への「内なる動機付け」は、すべての世代にとって価値があるはずです。
いずれにしても、3Dカードはまだ開発したてのホヤホヤです。今後も、より多くの方に使っていただき、多様な意見等をいただきたいと考えています。また、大学等の教育機関、病院等の医療機関等の専門的なアドバイスをいただきながら、改善を加え、第二版、第三版を世に出していきたいと思います。
私たちの目標は、このアプローチを通じて、社会から不幸な交通事故を減らすという大きな目標を少しでも早く達成できるようにすること。これからも社会に貢献していきたいと考えいます。
