課題を「COPE(困難に対処)」する新発想『COPE』が高齢ドライバー問題の解決を前進!

無関心からの脱却、行動へのステップ
以前のブログで私たちから「返活」という言葉を提唱させていただきました。高齢ドライバーのみなさんも、いつかは免許を返納することになりますが、それまで決して一筋縄ではいかない様々な人間模様や紆余曲折を表す造語として、また、この社会問題への関心を高めたいという思いから私たちで考えてみました。まだ知名度ゼロの状態ですが、地球環境問題や少子高齢化といった優先度の高い社会問題に比べて、やや見劣りしがちな高齢ドライバーの問題にも是非目を向けてもらいたい、との思いから少しずつ定着化を図っていきたいと考えています。
そして今回、この重要な社会問題に立ち向かう新たなキーワードとして、私たちは『COPE』という考え方を提唱したいと思います。一見すると「生協?(生協は”COOP”)」と間違うかもしれませんが、英単語として実在する「COPE」の意味「対処する」とひっかけてあります。今回私たちが提唱する考え方『COPE』は、事業を成功に導く上で非常に示唆に富むものであり、私たちの社会が抱える複雑な課題を解決する糸口となると確信しています。
運転継続の未来を描く『COPE』の意義
私がこの『COPE』という概念に至った背景には、高齢ドライバーの事故多発という課題を解消するために私たちが提唱している「運転継続計画(DCP)」への市場の反応がありました。DCPは、単に高齢ドライバーが安全な運転を続けるために計画を立てる、という「点」的なアプローチにとどまらず、それを「線」的なアプローチとして取り組みを継続することで、高齢ドライバーが安全に運転を続け、適切な時期に免許を返納する選択を目指します。
しかし、この取り組みはしばしば「総論賛成、各論反対」という反応に直面しました。高齢ドライバーの事故が多いという事実は誰もが認め、その解決を望む気持ちには共感してくれるものの、具体的な解決に向けたアプローチに多くの意見や賛否が寄せられたのです。
私たちはこれまでに多く寄せられた意見を分析し、その背景や理由を遡っていくと、野球で例えればホームランばかり狙っていたのではないか、ということに気づきました。そして事業を継続しながら結果を出すには、たとえデッドボールやフォアボールであっても、まずは塁に出ることが重要、つまりホームランという「解」の前に、実現すべき「中間解」があるのではないか、と。
この気づきが、私たちの事業は「①課題発見 → ②目標設定 → ③計画立案 → ④行動実施」という段階を踏まないといけないことを明確化しました。免許更新の通知を受けたり、高齢ドライバーによる事故の報道が①「課題発見」に当たり、DCPを作成することはこの③「計画立案」に相当します。そして、なかなか賛同が得られなかった原因がこの②「目標設定」の段階が抜けていたことであり、ここに焦点を当てることができなかったために、ストーリー的にスムーズに理解できない、という印象を与えてしまったと考えました。
『COPE』自律的な解決を導く思考フレーム
この「①課題発見 → ②目標設定 → ③計画立案 → ④行動実施」という一連の流れは、非常に理にかなったプロセスであり、普遍的な思考フレームワークだと感じました。しかし、生成AIに尋ねても、これと合致するような名称や考え方が今のところ見当たらず、そこで私たちがこの考え方に『COPE』と命名しました。それぞれの説明は以下の通りです。
- Cognize(課題発見 ):現状や課題を認識する段階です。データや事実に基づき、漠然とした不安や問題を具体的な形として捉えます。高齢ドライバーの事故データ、免許時の身体能力の変化、あるいは地域の交通インフラの現状など、客観的な情報を通じて自らの状況に目を向けます。
- Objectify(目標設定):認識した課題に対し、具体的な目標を設定する段階です。漠然とした「安全運転したい」から「〇〇年後も、自力でスーパーに行けるようにする」といった、個人にとって意味のある、達成可能な目標へと昇華させます。この段階で重要なのは、他者からの指示ではなく、自らの内なる声に耳を傾けることです。
- Plan(計画立案):目標達成のための具体的な行動計画を立てる段階です。DCPの作成がまさにこれに当たります。設定した目標を達成するためにはどのようなトレーニングが必要か、どのような運転支援サービスを利用するか、等の具体的なロードマップを描きます。
- Execute(行動実施):策定した計画を実行に移す段階です。そして、その結果を評価し、新たな「気づき」へと繋げ、次の「COPE」サイクルへと繋げていきます。
この『COPE』サイクルは、多くの方々から納得感が得られ、これまでの説明で特に大きな反論を受けたことはありません。それは、複雑な問題に対して人間が本来持っている自律的な解決を促す流れだからだと思います。
『COPE』の実現
運転に自信を持つ高齢ドライバーが多い反面、これまで検討が疎かだった「目標設定」を支援すべく、私たちは「人生100年これからゲーム」から着想を得た「カード」を開発しました。これは、高齢ドライバー個々人が自らの運転に関する潜在的な希望と向き合い、具体的な目標を見出すための補助ツールです。
これにより、高齢ドライバーが安全に運転を続けるための4つの要素「技術」「ハード」「情報」「マインド」のうち、最期の「マインド」の強化を図ろうと考えています。これまで「民事不介入」という考え方から避けられがちだった領域に敢えて足を踏み込むことで、高齢ドライバーの事故件数が高止まりしている状況をブレークスルー(現状打破)し、更なる高みを目指したい、と考えています。
終わりのない探求
事業の実施は、まさにPDCAサイクルの繰り返しだと、多くの先輩起業家からも、様々な書籍でも語られています。正解のないビジネスの世界では、市場の反応を敏感に捉え、臨機応変に対応しながら、「教科書にはない正解」を見つけ出すことが不可欠だと、私自身も日々痛感しています。
運転という行為は、多くの人にとって単なる移動の「手段」と捉えられがちです。そのため、運転に関する具体的な目標を考え、見つけることは、これまでに経験がなく想像以上に困難を伴います。だからこそ、私たちが今回開発したカードがお役に立てると考えています。そして、カードを通じて繰り返し自分の内面と対話することで、自分自身の潜在的な願望や、運転に対する本当の希望と向き合うことができます。
他の誰かに指示されたり、命令されたりすることなく、自分自身で目標を発見する。その目標が本当に自分の気持ちに沿ったものであれば、それに気づいた時点でそれを実現したいという強い意欲が生まれるはずです。そうなれば、改めて具体的な計画を立て、行動に移す流れが自然と生まれるでしょう。これまで相談に乗ってくれた方々も、私たちに何をアドバイスしたらいいのか戸惑っていたところがあったと思いますが、今回気付いた『COPE』という考え方を私たちに伝えたかったのだと思います。
これらの取り組みも一種の”定性的”な情報を活用したデータドリブンだと考えています。真の正解にたどり着くことは永遠にないのかもしれません。しかし、私たちはこれからも試行錯誤を繰り返し、いつかたどり着けると信じる正解探しをこれからも続けていきたいと考えています。